ココロの出会い ~世界を旅して 第4回 vol.4 シナイ登山 ~イスラエル~
森祐理
福音歌手
4月はイースターの季節。復活の主を覚えつつ、イスラエルの旅を振り返ります。7度の聖地旅行の中で、印象深い場所が「園の墓」。イエスさまのお墓かどうか定かでないそうですが、緑があふれ、小鳥も一緒に賛美してくれるような安らぎの場所。そのお墓の扉には、「He is not here. He is risen.(彼はここにはいません、甦られました)」と書かれています。
「園の墓」で礼拝した後、Yさんという参加者が声をかけてこられました。「ユリさん、復活の命を受けて、私も明日のシナイ登山に参加したい」
私はとっさに返事ができませんでした。なぜなら、彼女は身体に障害があり、歩くことも大変だったからです。シナイ登山は当然ホテルで休まれるのだと思っていました。「お願いです。登らせてください」。彼女の目には固い決意が浮かんでいました。
深夜2時半、一行は真っ暗やみの中を、懐中電灯だけを頼りに登り始めました。健常者でもきつい山道。正直、私も途中からラクダに乗りました。でもYさんはラクダに乗りもせず、ただ黙々と歩き続けたのです。その必死の姿に一同どれほど励まされたでしょうか。麓で待っていた仲間たちに迎えられ、全員手を繋ぎながらゴール。Yさんは皆とハグしながら、神をほめたたえました。
もう一つの感動は、Yさんを支え続けた一人の友の姿です。Yさんは彼女の手にすがって6時間歩き続けました。ゴール後、Yさんがようやく離した彼女の手からは血が流れていたのです。痛いからと手をほどくこともせず、ひたすらYさんを支えた彼女の姿に、私はイエスさまを見ました。イエスさまも血を流しながら私たちを支え、天国まで導いてくださるお方。お墓の中でなく、今も生きておられるお方です。
彼女たちを思い出すたび、私の人生も復活のイエスさまが共に歩いてくださると、喜びが湧いてくるのです。