ココロの出会い ~世界を旅して 第8回 vol.8 約束の地  ~ヨルダン~

森祐理
福音歌手

イスラエルから橋を渡ると20分でヨルダン王国。今回初めて訪れたヨルダン。中東情勢が不安定な中でしたが、実際には道行く人々が手を振り、農作物の収穫に精を出す、のどかな風景が広がっていました。ここヨルダンにも聖書に出てくる地が多くあります。
まずヤボクの渡しを渡り、スコテに登り、神の陣営が現れたマハナイムを見てペヌエルへ。ここはヤコブが一晩中、主と格闘した地。「私はあなたを去らせません。私を祝福してくださらなければ」と言ったヤコブの姿を思い、私自身そこまで主と向き合ってきたか、心探られました。続いてイエスさまが洗礼を受けられたベタニヤ。濁った水を見ると、いかに主が身を低くしてくださったか身にしみました。この水は罪の世かしら……と思い巡らせていたとき、なんと参加者のお一人が、再献身礼をしたいと水へ入られたのです。突然で驚きましたが、皆その信仰に感激し、共に主を賛美しました。
聖日礼拝は、 モーセの召された地「ネボ山」へ。40年間わがままな民を導き、たった1度怒って岩を2度打ったために、約束の地に入れなかったモーセ。このピスガの頂から眺めると、見事にカナンの地イスラエルが見渡せます。ここまで来て約束の地に入れないとは、主はなんと厳しいお方かと思いました。でもふと、別の考えがわいてきたのです。もしモーセがカナンの地に入ってから召されたら、民は大混乱になったのでは……。約束の地とはいえ、先住民との戦いはまだまだ続きます。ヨシュアが引き継ぎ、その若きパワーで戦い、勝利したことを思うと、主にある役割分担を思わされました。
モーセは失意でなく、喜びをもってヨシュアにバトンを渡し、天に旅立っていったと思います。主よ、私も与えられた役割を果たし天に帰る者としてください。♪志を果たして、いつの日にか帰らん……。ピスガの頂で祈りつつ、「故郷」の3節を口ずさみました。

<編集者より>
大震災によって明らかになった原発の抱える問題。先月号で紹介した中絶で失われていく年間22万人もの小さないのち。また今月号の「戦争の記憶」。「隠されているもので知られずに済むものはありません」が現実となる中、「聞く耳」を持ち、社会情勢にももっと注意深くあらねばと思います。(永倉)

書店で初老の男性がお困りの様子。聞くと、ある本を買いに台湾からはるばる来たのに品切れだったとのこと。いろいろ話すうちに、ご自分の必要にピッタリの本を探しあてられ、最後は握手をして、うれしそうに帰られました。その本は小畑進師の『詩篇講録』。今後も広く用いられそうです。(加藤)