スペシャル著者インタビュー 『アガペ-心の癒しと和解の旅』
ホームズ・恵子さん
第二次大戦下、日本軍の捕虜となった英兵たちは、筆舌に尽くしがたい過酷な労働を強いられた。戦後、英国へ生還した元英国捕虜たちの今も変わらない日本人に対する憎悪の激しさを知ったロンドン在住の恵子・ホームズさんは、十五年前より日英間の「謝罪と和解」を 進める団体「アガペ」を主宰し活動を続けてきた。
「和解をしようと思って立ち上がったのではないのです。私のふるさとの三重県紀和町にある英国捕虜たちの墓が畏敬をもってきれいにされているのを見て、彼らの親がこれを知ったら嬉しいのではないかと思ったのです」
元戦争捕虜とその家族を日本に招待し、その墓を訪れ、ホームステイや集会を通して、多くの日本人と触れ合う「心の癒しと和解の旅」を続けている。今まで十五回で約三百人が参加した。
「日本人が謙虚になったときに、和解が始まります。まず、日本人が謝らなければ、彼らも赦すことはできません。赦したことが、人生の中で一番最高だったという人もいます。憎しみという肩の荷がおりて、解放されていくのです」
「憎しみ」からの解放は、心だけではなく肉体的にも癒しをもたらした。車いすでまたは、杖をついて長い間生活していた人が、自分の足で歩くようになった。
ホームズさんは、「過去にどれほどのことがあっても、恵みを注いでくださる神様の愛がどれほど大きいものであるかを知ってほしい」と言う。
そして、神の愛は元英国軍人たちを「憎しみ」から解き放つだけのものではないとホームズさんは確信している。
「神様の愛は日本人に対しても示されている。日本人のある人は、謝れば責められるのではないかと恐れていたんです。でも、勇気をもって謝ったことで、相手も赦してくれて心が解放されていくのです」