スポーツミニストリーの挑戦 第5回 蒔いている種、蒔かれていた種

蔦田聰毅
インマヌエル堺キリスト教会牧師
スポーツネット関西/大阪・主事

前回、二〇〇三年の四月から高石市立高陽小学校の課外サッカークラブの指導を任されたことを書きました。その年の夏、米国のクリスチャン・サッカー宣教チーム「シーホース(Seahorses)」が大阪に来ることになりました。「シーホース」は、すでに一九九六年から来日を始めていましたが、名古屋での七年連続の活動に一区切りをつけ、この年から日本の別の都市に働きの場を移し、静岡と大阪に来ることになったのです。それまでは米国の男子学生のサッカーチームが来日していましたが、二〇〇三年と二〇〇四年は男女各一チームが来日し、それ以降は毎夏、男子学生か女子学生、どちらかのチームが来てくれます。
「シーホース」の参加メンバーは年ごとに集まります。時には一つの学校のクラブ・メンバーが、時には全米中のミッションスクールから募集して、ひと夏限りの宣教チームを結成します。メンバーは来日前の数日合宿し、日本宣教についてのレクチャーを受け、サッカーの練習だけでなく、各個人の証しの準備や賛美歌、伝道のためのスキットなどを練習して来日に備えます。選手もスタッフも、全員が喜んで教会に仕える主の証し人たちです。
来日してからは、学校や少年サッカークラブ等との交流、サッカー教室やサッカー・キャンプの開催、さまざまなジャンルのチームとの親善試合を行い、同時に彼らに伝道します。振りつけのついた短い賛美歌を歌い、ともに踊り、歌詞の意味を紹介したり、救いの体験談や聖書のショートメッセージを話します。
子どもたちはそのほとんどが、メンバー紹介の写真がついたトラクトをもらうと、写真のところに本人のサインを求めます。するとそのトラクトは彼らの宝物となり、あるいはデスクの正面を飾り、あるいはアルバムに納まります。今すぐは分からなくても、そこに書かれているメッセージを後に読み直し、理解してくれるようにと祈っています。特にそれらのスポーツ交流が週の後半に催される場合は、次の日曜日にメンバーが出席する予定の、周辺の幾つかの協力教会を案内し、礼拝に招きます。メンバーは数人ずつに分かれて、受け入れてくださる教会の礼拝に出席し、要請に応じて賛美や証しをします。それを機に、初めて教会に行くという方が何人もいます。

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さて、二〇〇三年の春に指導を開始した高陽小では、その夏に「シーホース」を迎えてサッカー教室を行い、その日の晩は、小学校最寄りの高石聖書教会をお借りして、歓迎レセプションを開きました。子どもたちもたくさん来てくれましたが、一緒に来たお父さんの一人が教会の玄関で、「あっ! もしかして清水先生ではありませんか」
実はこのお父さんは、三十年前に別の場所で清水牧師が励んでおられた「公園CS(Church Shcool)」の常連の子どもだったのです。その後、教会も引っ越し、彼も結婚して小学生の親となり、その子が高陽小のサッカー部に入部していたのです。清水牧師も、すぐに彼の顔と名前を思い出され、感動の再会となりました。三十年間切れかけていたように見えた糸が、実は不思議につながっていて、そのつながりを再発見するためにスポーツが用いられたのです。

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週四回サッカーの練習でともに汗を流し、時には厳しく叱るときもありますが、大会では勝利の喜びや悔し涙を共有する子どもたちとは自然と絆が強まり、親しくなります。
公立の小学校なので、大っぴらに教会のチラシを配布することはできませんが、冬には冬の練習の注意点や、練習方針、サッカーに関する情報などを記した「BJ通信」なるものを作成し、その最後にクリスマスの案内を載せています。教会で行う子ども向けのクリスマス会のチラシ(前述の最寄りの教会とBJがいる堺キリスト教会のもの)も同封して封書に入れ、子どもたちそれぞれの名前を表書きして学校にお願いすると、先生が責任をもって部員たちに渡してくれました。そこから幾人かは、三十分近く自転車をこいで堺の教会に来てくれました。「へぇ~、BJって牧師さんもやってるの?」あのなぁ~……(笑)。
十~十二歳の子ども、一学年平均十五~二十人をお預かりして、小学校のサッカークラブの指導を十一年続けているので、その町には百五十人以上のティーンエージャーの知人がいることになります。今も時々、町で卒業生に声をかけられます。今は、彼らと次のステップに進むには……、と祈りと思いを走らせる日々です。

全国のスポーツミニストリーで、相互協力できればと思っています。情報提供をしてくださり、
ありがとうございます。Email : publish@wlpm.or.jp「スポーツミニストリー情報」宛

*「シーホース」Webサイト http://www.seahorsesoccor.com/