バック・トゥ・ベーシック・シリーズ(4) 学び 学ぶ喜びと教える喜び
朴 永 基
日本同盟基督教団 新札幌聖書教会牧師
教会の本質的な使命
教会の大切な使命の一つは、みことばを教えることです。
これは、教会の主であるキリストが、この地上で自ら規範を示した内容であり(マタイ9・35)、神の御国に帰るとき、この地上で最後の遺言として残した尊い命令でもあります(マタイ28・20)。
混乱する時代の中で尊く用いられた初代エルサレムの教会の指導者である使徒たちが、大切にした働きでもあります(使徒2・42)。
世界宣教の使命を果たしたアンテオケの教会の指導者たちが、時間をかけて示したモデルでもあります(使徒11・26、13・1)。
神のみことばを教える、学ぶ、守ることは、決して教会のプログラムの一部ではありません。キリストと初代エルサレム教会とアンテオケ教会が次世代の教会のために、残した大事な遺産であり、教会の本質的な使命の一つです。
犠牲が要求されている使命
みことばを教えるとき、学ぶときには多くの犠牲が伴われています。
使徒パウロは、この教える使命を果たすために、自分のうちに力強く働くキリストの力によって、労苦しながら奮闘しました。
労苦だけではなく、教会のために受ける苦しみを喜び、信徒の正しい信仰と人格の成長のために産みの苦しみまでも覚悟し、次の時代の教会のことを深く考え、教える使命を具体的に示しました(使徒28・30、31、ガラテヤ4・19、コロサイ1・28、1テモテ4・13-16)。苦しみがあっても、教会が教える使命を果たすことは、キリストに従い、ならうことです。聖霊に満たされていた初代教会にならうことです。使徒たちの教えと聖書中心の信仰にしっかり立つことです。
みことばを経験し強くなる教会
教会は、神のわざを経験することによって強くなっていきます。
教会が、神のみことばを正しく教え、その教えを堅くまもり、その中に留まるなら、神のわざを経験することができます。
初代教会のように、霊的な喜び、愛の交わり、生きる感動、不思議なわざと奇跡、とりなしと賛美がいつも満ち溢れるでしょう。社会に良い影響を与え、救われる人々も加えられる祝福を味わうことができるでしょう(使徒2・42-47)。
教会が神のみことばの力を経験すればするほど強くなります。使命感をもってみことばに生きるようになります。
主のための使命感があれば、どんなことがあっても、失望しないで教えることができます。どんな事情があっても学ぶことができます。この中で互いに教える喜びと学ぶ喜びを味わいながら共に成長していくでしょう。
信徒育成は牧師の大切な使命
教える使命から見れば、教会の中に二種類の信徒がいるのです。
みことばを教える信徒とみことばを学ぶ信徒です。教える信徒、学ぶ信徒が増えれば増えるほど教会は良いところに変わっていくでしょう。
教会と牧師の大切な使命は、教える信徒を育成することです。訓練された信徒が新来者、求道者、救いの確信の確信のない人に使命感を持って教えるように育成することです。教える喜びと学ぶ喜びを教会に定着させることです。みことばを通して、力強く聖霊の働きを一人ひとりが経験できるように、霊的な雰囲気を供えることです。教える教材を具体的に供えることです。信徒を育成して信徒と共にキリストの教会を建てあげることです。
教会がこのようになれば、信徒も牧師も共に成熟するでしょう。
共に信仰のレベルが高くなるでしょう。聖徒の交わりが豊かになるでしょう。福音を証しする喜びが大きくなるでしょう。教会生活が楽しくなるでしょう。苦しみ、試練、病気があっても教会から離れないでキリスト中心に生きるようになるでしょう。
ここから生まれる牧会の中には、誰も奪うことのできない希望があるでしょう。
初代教会は、このようなものであったので、迫害も試練も、貧しさも、聖霊の励ましによって乗り越えたのでしょう。みことばに生きる教会を建て上げ、教会として生きる感動があったでしょう。
現代の教会に一番必要なものは、キリストと初代教会がモデルとして示してくださったこの教える使命、学ぶ使命を回復することです。牧師と信徒が共にみことばに生きる霊的な喜び、感動と愛、聖徒の交わり、人々主に導いて育成する宣教の喜びを回復することです。
この喜びがあれば、牧師と信徒は決して孤独にならないでしょう。毎日大きな希望と使命感を持って主のために生きるようになるでしょう。静かな教会(calming church)が働く教会(working church)に変わって、生き生きする教会(living church)になるでしょう。