ビデオ 試写室◆ ビデオ評 107 現代の奇跡物語、アメフトのゲームに引き込まれる!
『フェイシング ザ・ジャイアント』

『フェイシング ザ・ジャイアント』
古川第一郎
日本キリスト改革派 南越谷コイノニア教会牧師

 シャイロー・クリスチャン・アカデミー高校のフットボールチーム、イーグルスの監督グラント・テイラーは、勝ち越したシーズンが、まだ一度もありません。 今年もチームは負け越し、車は故障ばかり、家には原因不明の悪臭、妻(シャネン・フィールズ)とは結婚から4年たっても、子どもができない。何もかもうまくいかない。さらに、生徒の保護者たちが、グラントを解雇する相談をしているのを立ち聞きしたとき、グラントは人生の危機に直面します。落胆したグラントは、自分の信仰について、真剣に考えます。

 オフィスで一心に祈っていると、突然転機が訪れました。不思議な老人が、不意にグラントのオフィスに入って来て、聖書の一節を読んで、出て行きました。絶妙のタイミングで心に入ってきた聖句が、落胆を追い払い、「神と一緒なら不可能はない」という強い確信が湧いてきました。監督の心がリバイバルされました。

 彼はチームに問いかけます。「何のために試合をするのか?」今までとは違う目標を与えます。「ベストを尽くす。結果は神に任せる。勝っても負けても感謝する。」この目標に切り替えたことが、チームを「勝たねばならない」「また負けるんじゃないか」というプレッシャーから解放しました。

 プレイオフで敗退したときも、皆で神に感謝、賛美しました。そのとき、勝ったチームが失格して復活、イーグルスは初めての決勝まで勝ち進みます。最後の相手は最強チームのジャイアンツ。弱小チームのイーグルスが、あのダビデがゴリヤテに向かうように、チャンピオンに立ち向かいます。初優勝なるのか?決勝戦のシーンは、息もつかせない興奮で、試合に引き込まれます。熱い血潮が燃え、若者たちの信仰の情熱も試合にぶつけられました。控え選手がほとんどいないイーグルスは、みんな体力の限界まで燃やし尽くします。ところが、逆転までもう3点というところで、キッカーが負傷退場。控えのキッカーはフットボールを始めたばかりのデヴィッドしかいません。万事休すか?

 デヴィッドのキックは最高でも35ヤード止まり。 しかしゴールまで51ヤード。入れば勝利、外せば負け。この新入生に試合のすべてがかかりました。戸惑うデヴィッドが、ふと客席を見ると、車椅子の父が懸命に立ち上がって祈っています。感動したデヴィッドが満身の力を込めてボールを蹴ると、ボールは高く夜空に舞い上がっていきました。それはどこに落ちるのでしょうか?


 この映画はジョージア州シャーウッド・バプテスト教会一教会が製作し、全米441劇場で公開され初登場で12位を獲得した作品。「信仰」というと、「逃避だ」と言われることがあります。でも本当の信仰は、厳しい現実に、困難な課題に、勇気を持って立ち向かわせる力なのだということを、ここに登場するすべての人が教えてくれます。選手たちはもちろん、いくつかのサブストーリーを構成する人物たちからも、もちろん主人公のグラントからも、私はものすごい元気をもらいました。「大丈夫!あきらめるな。何かもう一つやってみろ」と。主演で監督を務めたアレックス・ケンドリックに、感謝をしたい気持ちです。