ビデオ 試写室◆ ビデオ評 112 「正しい」「わかりやすい」「短い」「面白い」
4拍子そろったバイブルストーリーを、子どもたちに贈りたい

DVD「パソコントラベル探偵団」
古川第一郎
日本キリスト改革派 南越谷コイノニア教会牧師

 インターネットの掲示板に、こんな言葉がありました。「20年くらい前にやっていたアニメで、おそらくテレビ東京系で、男の子と女の子が主人公だったと思うのですが、エンディングの歌詞に『ディンドンベル、ディンドンベ~ル』という歌詞が出てきたと思います。記憶があいまいで思い出せません。誰か教えてください」(大意)。もちろん「パソコントラベル探偵団」のことです。

 子どものときに触れたものは、忘れたようでも、心のどこかに残ります。それが無意識のうちに、生き方に影響を与えます。

 「Gabage in, gabage out」(ゴミを入れればゴミが出る)という言葉があります。「コンピューターにくだらないデータしか入っていないと、それしか出てこない」という意味です。人間の脳も同じで、「ゴミ」のような映像や言葉がたくさん入ると、それも生き方に影響を与えます。性犯罪、暴力、殺人が、あまりにも軽い理由で起こってしまうことの背後に、無責任な映像文化の影響があることは否めません。


 それに対して、聖書に触れる機会は何と少ないことでしょうか。教会学校の生徒だけでなく、その親も、「敵を愛しなさい」などの有名な聖句を「聞いたこともない」と言います。それくらい聖書は「無名の本」になりつつあるのです。

 私たちの教会には、毎年ミッションスクールの新入生が紹介されてきます。そのほとんどは、中学に入って、初めて聖書を見る人です。「イエス様」の名前も知りません。しかも映像文化の時代。「聖書のおはなし」を聞いても、人物や情景を頭に描くことができません。義務で教会に来て、泣きそうな顔で終わるのを待っている子。これでは「苦痛な思い出」しか残りません。


 この作品を見て感じることは、第一に聖書に忠実で「正しい」こと、第二に「よくわかる」こと、第三に1話24分と「短い」こと、第四にどんどん引き込んでくれて「面白い」ことです。子どもと一緒に見て、お互いに「聖書は面白いな」と思えたら、聖書の人物や物語が「すてきな思い出」として心に蒔かれ、やがて「信仰」「希望」「愛」という花に育っていくでしょう。

 「アニメ親子劇場」「トンデラハウスの大冒険」と三つセットでお用いになることをお勧めします。


※ これらのアニメのディレクターは、「ムーミン」や「まんが日本昔ばなし」で活躍し、『まんが聖書物語』の作者でもある樋口雅一氏が担当しています。