ビデオ 試写室◆ ビデオ評 61 美しい聖夜をこの作品で『ファースト・クリスマス』

『ファースト・クリスマス』
古川第一郎
日本キリスト改革派 南越谷コイノニア教会牧師

 この色彩豊かで美しいクレイアニメーションに、心酔してしまいそうです。クリスマスに部屋を暗くしてみたらいいだろうなあ、と思いました。

 クレイアニメーションというのは、粘土で作った人形が生き生きと動いて、様々な感情を表現するアニメーションのことです。すでに、ルツ、アブラハム、ヨセフの物語をご紹介しました。アメリカでは、子供も大人も心から楽しめる数少ないアートの一つです。

 とにかくカラリング(色づけ)が巧みです。妻がテレビの前を通りかかったとき、一目見て、「あ、すてき!」と言ってしまったほどです。1999年のクラウン賞の子供用ビデオ最優秀作品に選ばれています。

 物語は、ヨセフとマリヤのベツレヘムへの旅から始まり、満員の宿の持ち主との温かい出会い、博士たちの砂漠の旅、彼らを導いた不思議な、神秘的な星などが描かれ、馬小屋での主イエスの降誕に至ります。その間に、聖書には出てこない人物―宿屋の持ち主の娘のリベカ、羊飼いの少年のダニエルなど―が登場します。赤ちゃんのイエス様の可愛い顔にも注目してください。

 全体で20分ほどの短い作品ですが、その中に、よく知られた賛美歌が次々に流れて来ます。「きよしこのよる」「われらはきたりぬ」「もろびとこぞりて」「神の御子は今宵しも」「ああベツレヘムよ」。その演奏もロマンチックにアレンジされていて、クリスマスのムードを最高に盛り上げます。

 教会では、たとえば、キャンドルサービスの前にこれを映して、最後のタイトルバックの「もろびとこぞりて」から皆で一緒に歌って礼拝に入っていったら、いつもよりももっと心が温まるかもしれませんね。

 それ以上に、あちらこちらの家庭で、家族そろってこの作品を楽しむ時間があったら、どんなにすてきでしょうか? クリスチャンの家庭では、家庭礼拝に用いていただきたいし、まだイエス様を知らない家庭にプレゼントしたら、クリスマスの温かさを届けることができるでしょう。また、一人淋しくクリスマスを迎える人に贈るなら、その一人の部屋の温度が上がるような気がします。

 日本語字幕版(DVDにのみ収録)は、クリストファー・プラマーという「サウンド・オブ・ミュージック」のトラップ大佐を演じた有名な俳優がナレーションを担当していますが、日本語版はどんなものになるのか、期待しています。

 皆さん、よいクリスマスを!