ビデオ 試写室◆ ビデオ評 71 『ミラクルメーカー』
古川第一郎
日本キリスト改革派 南越谷コイノニア教会牧師
(2)ヤイロ一家とイエスの出会い
「お母様、あの方よ。セプォリスにいた大工さん!」不治の病を持つ少女タマルは、大工だったイエスが、海辺で説教をしているのを見つけました。
「ほら、お日様に当たったから、また熱が出てきたわ」。お母さんのラケルは、心配でたまりません。タマルは、もう長くない命なのです。でも、イエスの話に夢中になって、動きません。「ここにいさせて。もっとお話が聞きたいの!」
シモン・ペテロの家が、笑いと歓声に包まれます。中風の人が癒されたからです。元気になって飛び出してくる本人、取り囲む仲間たち。その光景をじっと見ているタマル。
ガリラヤの港で、イエスと遊ぶ子供たち。楽しそうな様子を、じーっと見ているタマル。そんなタマルの目でイエスの生涯を追いかけていくと、人目に隠れた悲しみに気づきます。
「イエスに従う者は神の敵だ!」。パリサイ人のピネアスが叫びます。その前にいたのが、会堂管理者のヤイロ、タマルのお父さんでした。
「あなた、タマルをイエス様のところにつれて行きましょう」。奥さんのラケルの願いを聞くわけにいかないのが、会堂管理者という立場の難しさ。葛藤します。苦しみます。
タマルの臨終の床。虫の息で、「お父様。イエス様に会いたい…」。ヤイロの心に響く声。「イエスに従う者は神の敵だ!」。「やめろ!」。心が決まりました。「人が何と言おうと、私は行くぞ!」。この台詞がすばらしい!
全力疾走でイエスのもとへ走るヤイロ。しかし帰る途中に、娘の死を知らされます。
かまわず家に入るイエス。タマルの手を取って、やさしく、「起きる時間だよ」。気がついたタマルの目の前に、大好きなイエス様の姿!「ああ、来てくれたのね!」。タマルが飛びつく。イエスが抱きしめる。3Gの二人がまぶしいです!
「もう大丈夫だー!」。家を飛び出して叫ぶタマル。今までも、「あたし大丈夫」が口癖でした。この言葉で自分を励まし、親を励ましてきたのです。でも今、イエス様の手でいやされ、涙を拭われ、心の底から叫びます。「ほら、もう大丈夫なんだよー!」
私たちにも、そう叫ぶ日が来るのですね。タマルは、クリスチャンの今と未来です。
このあとも、タマルの目を通して、主イエスの昇天まで見て行きましょう。