ビデオ 試写室◆ ビデオ評 72 『ミラクルメーカー』
古川第一郎
日本キリスト改革派 南越谷コイノニア教会牧師
(3)あなたの場所を用意されるイエス様
不治の病の少女タマルが、町で出会った大工さん。優しい目をして、差別される人の味方になるその人は、その日から彼女の心に入ってしまいました。やがて、その人は伝道者となり、海岸や道端で神の愛を説きます。タマルはお話が聞きたくて、追いかけて歩きますが、病魔は体を蝕んでいました。死の床で、「イエス様に会いたい…」という言葉を最後に、タマルは息を引き取りました。皆が泣いている家に、お父さん(会堂管理者ヤイロ)が帰ってきました。もうタマルには父の姿もわかりません。でも、彼女の魂に語りかける声。「起きる時間だよ」。気がついたら目が開いていて、目の前にイエス様がいました。その日は、タマルにとっては命の始まり、しかしイエス様にとっては死の始まりでした。
過ぎ越しの祭り。エルサレムへの旅に、元気になったタマルと両親も同行します。崖の上から、イエス様と肩を組んでエルサレムを見下ろすタマルの楽しそうな姿。焚き火を囲んで聞いた「よいサマリヤ人」のお話。ロバに乗ったイエス様と一緒にエルサレムに入った思い出。最後の晩餐にも、ゲッセマネにも、タマルがいます。
「おーい、イエス様が殺されちまうぞー!」翌朝この声に飛び出していくと、イエス様が十字架をかついでいます。「えっ!?どうして?」倒れたイエス様に思わず近づいて、手を握るタマル。イエス様はタマルの罪も背負って、力を振り絞って歩きます。
三日後の日曜日、タマルはエマオの親戚の家に。夕方、お父さんたちが、見知らぬ旅人を連れて来ました。「だれだろう?」「行きずりの人らしいわ」。そのとき、その旅人はパンを両手で持ち、高く上げて、裂きました。その姿を見たタマルが、「あ!だれだかわかった!」
ラストシーンの昇天。タマルの顔に悲しさはありません。イエス様の言葉を覚えていたからです。小さな男の子が、「ああ、消えちゃった」。「大丈夫。お父様のところには沢山お部屋があるわ」「え?カペナウムに?」「そうよ。カペナウムにも、エルサレムにも、世界中にあるわ。イエス様はいつも私たちと一緒よ」。すばらしい笑顔です!
「自分のいる場所がないな」と感じることがあります。でも、イエス様は、どこへでも先に行って、あなたの場所を作っておいてくださる方です。タマルの素直な心を通して、イエス様に出会わせていただきたいですね。