ビデオ 試写室◆ ビデオ評 80 DVD『アニメ親子劇場』第三巻

「アニメ親子劇場」
古川第一郎
日本キリスト改革派 南越谷コイノニア教会牧師

復活が二重に描かれる暖かさ

 お元気ですか?

 今月は、「アニメ親子劇場」DVDシリーズ第三巻をご紹介します。

 「怪力物語」「馬小屋物語」「イエスの奇跡物語」「からっぽの墓物語」「親孝行物語」の五話が入っています。旧約からサムソンとルツの二話、そして新約から、三話にわたってイエスの生涯が描かれています。貧しい人、弱者の味方であるイエス様が、よく描かれています。

 イエス様のご降誕から復活までのお話と並行して、主人公の飛鳥翔の家でも、ひとつのドラマが進行していきます。研究に夢中で家族を顧みないパパに愛想をつかして、ママは出て行ってしまいました。長い間パパと二人暮らしの翔は、不満です。クリスマスに、「パパ、今日は何の日?」というと、「偉大な土器が発見された日だ」という見当外れな答え。「ママがいたらなぁ」というため息。でもついに、「からっぽの墓物語」でママが帰ってきます。

 学校から帰ってくると、おやつが置いてあって、翔の部屋がきれいに片付いています。「ママが帰ってきたんだ!」と翔。「そうね!」一緒に喜ぶ梓。でもママの姿がありません。

 その時タイムブックが開きます。開いたページにはのお墓の絵。翔と梓とゼンマイジカケはそこに引き込まれて、イエス様の十字架の前の日にタイムスリップします。

 ゲッセマネで道に迷った三人は、そこを通る一団の男たちを見ます。先頭を行くユダの話を聞いた彼らは、急いで、祈っているイエス様の所に行って、危険を知らせます。しかし、イエス様は立って、敵の方に向かって歩いて行かれます。逮捕されるイエス様を助けようとする翔と梓に、イエス様は優しく「君たちのことは忘れないよ」と言って引いて行かれます。

 十字架をかついで歩くイエス様。泣きながらさまよい歩くペテロ。

 イエス様を探していた翔たちが、倒れかかったペテロを見つけて、「何があったの?」

 イエス様が十字架にかけられたと聞いて、三人はゴルゴタへ。

 夕方、十字架から下ろされたイエス様の体を葬りに、翔たちも一緒にお墓へ行きます。

 そして3日目の朝、婦人たちが空になったお墓の前で、天使から復活を告げられるのを、三人も陰から見ています。「あの絵はこのお墓だったんだ!」

 帰ってきたイエス様と会って喜ぶ弟子たち。これと重なり合うように、現代に戻ると、ママが帰っています。いなかったママがいます。翔の家も生き返りました。久しぶりの、最高においしい夕食でした!その日の夕食は、あの弟子たちが、復活したイエス様と一緒に食べた魚の味と、どこか似ていたのではないでしょうか?暖かいハッピーエンドでした。