ビデオ 試写室◆ ビデオ評 98 たいせつなきみシリーズ
~クリスマス~

「いちばんうれしいおくりもの」

DVD「いちばんうれしいおくりもの」
古川第一郎
日本キリスト改革派 南越谷コイノニア教会牧師

ルケードがクリスマスに贈る魂のギフト

 今年もクリスマスが近づきました。

 マックス・ルケードの『たいせつなきみ』シリーズ。今回はそのクリスマス編です。ただしウイミック村では、「クリスマス」ではなく「つくり主の日」です。

 初めての方のために解説しますと、「ウイミック」とは、天才大工のエリが作った、木彫りの命を持った人形たちです。そのウイミックがたくさん住んでいるのがウイミック村です。そこの最大の年中行事が「つくり主の日」、つまり自分らを作ったエリに感謝する日なのです。

 この日が近づくと、ウィミックたちはエリへの贈り物を一生懸命作り始めます。それが毎年くりかえされるうちに、競争になってしまったようです。「自分の贈り物こそ一番だ!」と言って、お互いに張り合うようになってしまったのです。

 今年も、「この超特大のケーキこそ、エリが一番よろこぶ贈り物さ!」「あたしの晩餐会が一番よ!」と、みんなはりきっています。パンチネロも、「僕もがんばって贈り物作るよ!」と言って、エリの家を飛び出して行きます。エリはちょっと寂しそうに、「君がいてくれるだけでいいんだよ」と呼びかけますが、聞こえないようです。

 いつもは模範生のルシアも、このときばかりはみんなと変わりません。「わたしは、マーベル博士のオーケストラ・マシーンの演奏に乗せて独唱をするの。きっとエリが一番喜んでくれるわ!」パンチネロにも冷たいようです。

 パンチネロはひとりでは何もできませんから、マーベル博士のオーケストラ・マ シーンの演奏助手になりました。

 いよいよその日が来ました。村中のウイミックが集まって、盛大な祝会が始まります。ただ、そこにエリの姿はないし、ウイミックたちの心は競い合うことに夢中です。今のクリスマスを風刺しているようです。

 ところが祝会の途中で大変な事件が発生!祝会は続行不能!何もかも壊れて、「つくり主の日」はメチャクチャ。がっくりうなだれて帰っていくウイミックたち。

 そのときです、予期しないことが起こります。すべてが壊れたとき、みんなが失望の底に落ちたとき、何も贈り物がなくなったときに……。魂が揺り動かされるような、不思議な夜でした。この最後の数分間、音も映像も、ほんとうに美しい!「そうだったな。忘れてたな……」。クリスマスは忙しく動き回る牧師の私などには、必要な気づきでした。

 これを見て、クリスマスの本当のお祝いの仕方を知ってくれる子どもたちが、きっと何人も出てくることでしょう。