ファインダーから見た情景 4 あとは……
秋山雄一
フォトグラファー
1月号で自分の写真を撮られるのが好きでないと書きましたが、鏡を見るのもあまり好きでないことに気づきました。
仕事へ向かう前に何気なく鏡を見ると、自分の顔がその時の気持ちを表しているなあと思うことがあり、また自分だけの機嫌を表情にまで引きずって関係ない人にまで伝えてしまう不甲斐なさを感じることもあります。人と会うまでになんとか表情を変えなければと思うのですが……。
アメリカで大きな事故や、いくつかの困難にあった友達からこんなメールが届きました。
「そういえば私はLuckyなことに気づきまして、自分を信じているとLuckがいつもついてきます。人にも環境にも恵まれているし、今をすごく大切にしています」。
彼女は日本ではまだ確立されていないミュージックセラピーをアメリカで学び、現在ロスアンゼルスの州立の病院で、刑務所から社会復帰する人たちへ向け活動しています。
「私は好きなことをやれて、頑張れているからLuckyだと思う」と。
2年ほど前、病と闘っている母と暮らしていました。
そんな中でも母は「楽しかった」「ありがとう」「すてきね」と病を気にしないかのような表情と言葉で「神さまがすべて決めてくださっているから、いつも安心できるの」と言っていました。
ふたりの言葉は今でも私の心の中で生き、大きな財産となっています。あとは日々、自分の力で表情を整えられるようになれば、写真を撮られることも好きになるかもしれません。