ファインダーから見た情景 7 民族と文化を追いかける旅
秋山雄一
フォトグラファー
昔からアルバイトをしては海外にフラフラと出る癖があったのですが、自分でもなぜこんなに貧乏旅行に行ったのか深く考えたことはありませんでした。でもどんな国でもいろんな人と出会い、文化に触れて楽しいことばかりだったのは確かです。
アメリカのガイドブックを見ながら行きたい都市をピックアップすると……、ニューヨーク、ボストン、ニューオリンズ、サンタフェ、サンフランシスコでした。今思うとこれらの都市は人種のるつぼであり、ケルト、フランス、スペイン系の街でもあります。
よくアメリカ人は自分の祖先の国を訪れると聞きます。多民族国家であるがゆえ、アイデンティティーの重要さを認識しているのではないかなと思います。また、多くの文化を受け入れ、融合によって新しい文化を築いてきているのも事実です(ケルト、アフリカ音楽がカントリーやジャズ、ブルースを生み出してきました)。
別に自分のアイデンティティーとは関係ないのですが、南米に行くとスペイン、ポルトガルに興味がわき、エジプトに行くとイタリアやフランス、イスラエルに行きたくなり、チベットに行くとウイグルも観たいと、きりがありません。
旅は発見と疑問の繰り返しで、いつも帰国の飛行機の中では、もう次に行くべき国のリストができてしまいます。