ファインダーから見た情景 9 日本を見つける旅

日本を見つける旅
秋山雄一
フォトグラファー

 小学生のときに沖縄に行き、高校の修学旅行では鹿児島から縦断で長崎をまわって福岡を観てまわり、大学生では国道2号線を自転車で山陽の観光地を走り抜けました。

 これらの旅でとても大切な場所を訪れたのですが、当時の私の心にはただの観光で終わって行くものでした。


 沖縄、鹿児島、長崎、広島と意識したのはいつ頃だったか忘れましたが、先日再び鹿児島を訪れる機会がありました。行き先は鹿屋と知覧、戦時中多くの青年が自分の大切なものを守るため、またその未来を願うために覚悟を決めて沖縄へ飛び立った地です。


 ここで戦争を美化するつもりでもなく、右や左だということを言うつもりでもありません。

 彼らの遺した言葉、一字一句しっかりと目で追えば今を生きる日本人として感謝すること、恥ずかしく思うこと、将来への日本に対して何をして行くべきなのか、おのずとわかってくる事実があるということです。


 また、この旅では加治木島津家第13代当主の島津義秀さんの話を聞く機会も与えられ、「4世代の自分の祖先を知っていますか」と問いかけられ、愕然としてしまいました。


 7月号にアメリカ人は自分の祖先の国を訪れる話に触れましたが、個人的に日本が日本らしさを失いかけていると感じる現在、日本人も先人たちを知り、彼らに感謝することが大事なのではないかと思わずにはいられません。