ブック・レビュー 『「二人」を生きる関係』

『「二人」を生きる関係』
竹内 里子
日本福音キリスト教会連合 永福南キリスト教会 牧師夫人

聖書的結婚の入門書

 キャッチボールで大切なことは、捕球する際、相手の球威に合わせてグローブをぐっと引くことだそうです。そうでないと球をはじいて落とすだけでなく、手もしびれたりするようです。

 著者近藤由美さんは、KGK主事時代の初めから実にすばらしい言葉のキャッチボールのできる方でした。多くの学生の話をはじくことなく受けとめ、やさしい笑顔でゆっくり、しかしビシッと相手に的確な言葉を投げ返す……。そしていつしか学生は「由美さんワールド」に引き込まれ、言葉にできずにいた心の問題を口にし、解決や方向転換へと導かれていきました。

 本書は、そうした数々の経験と著者の深い神との交わりの中から教えられたことが見事にひとつとなり、結婚に備える若きキリスト者への愛のメッセージとして由美さんの語り口調そのままにわかりやすく書かれた聖書的結婚の入門書と言えるでしょう。

 「結婚する者の第一の務めは、生涯互いに愛し合う関係を生きること」と語る著者は、まず「自分」という存在を知ること、受け入れること、そして自分の気持ちを的確に表現する言葉を身につけることを促します。そして自分自身を守る姿勢から脱却して傷つくことを恐れないで、相手と「愛する」関係を構築することが主の召しに生きる者が最優先すべきと強調しています。

 19章の細かな単元に分かれ、そのひとつひとつに「うーん」と自己吟味させられる内容が散りばめられています。小グループの読書会などで教えられたことを分かち合うのも、それぞれの必要に届いていく大変効果的な本書の用い方だと思います。

 「著者は良い結婚に導かれたから言えるけど現実は……」と言いたくなる既婚の方々も、いいえ、人間関係に悩むどなたにももう一度自分の結婚をそして隣人との関係を再点検する絶好の機会を提供してくれる本だと信じます。