ブック・レビュー 『あかちゃんが うまれても わたしのこと すき?』
坂本 ふぁみ
東京パラダイス・チャーチ 牧師夫人
生命の大切さを子どもたちに
「お母さん、お姉ちゃんと私とどっちが好き?」四人姉妹の三女として生まれた私は、いく度となくこんな質問をして母を困らせたものです。誰よりも母に一番愛されたいと、子どもなら誰しもそう思うのではないでしょうか。母親は、世界にたった一人の特別な存在なのです。この絵本に登場する白クマの女の子ルルもそうでした。お母さんグマの妊娠を知って、「ママは どうして、また、あかちゃんを うまなきゃならないの?」「あかちゃんが すきになれなかったら、かえしてもいい?」「あかちゃんが うまれても、わたしのこと、すき?」と質問を浴びせます。さあ、私ならどう答えよう、と一歳四か月になる娘の寝顔を見つめながら、私は考え込んでしまいました。
人工中絶、自殺、虐待……。生命の尊厳が危機に瀕する現代に、創造主なる神さまのみわざ、生命の神秘とすばらしさをどうやって子どもたちに伝えればよいのでしょうか。
お母さんグマは優しく答えます。
「ルルは、パパとママの だいじな たからものよ。あかちゃんが うまれても かわらないわ。」
お父さんグマも答えます。
「ルルも、うまれてくる あかちゃんも、かみさまからの おくりものだからね!」
空から降ってくる雪は、どれも真っ白で同じに見えるけれど、よく見るとひとつひとつが違うように、私たち一人一人も神さまに造られたかけがえのない存在なのだと、ルルの幼い心の中に貴重なメッセージがしみ込んでゆきます。
そして、このメッセージは本書を読む子どもたちの吸い取り紙のような心の中にも、疲れきった砂漠のような大人たちの心の中にも、優しく深くしみ込んでいくことでしょう。
「あなたは神さまに造られた、世界にたった一人の大切な人だよ。神さまはあなたのことをとっても愛しているよ。」