ブック・レビュー 『あすかとあいのバイブル百貨店』

『あすかとあいのバイブル百貨店』
佐々木満男
国際弁護士

クリスチャンでない人向けの絶好の伝道ツール

 インターネット上で大手企業のサンプルを取り扱う「サンプル百貨店」を三年前に立ち上げた二人の女性企業家、渡辺明日香さん(社長)と飯島淳代さん(副社長)の共著。「サンプル百貨店」を運営する「株式会社ルーク19」は、あっという間に登録会員数二十五万人、企業数四百社(二〇〇七年八月現在)を持つ優良企業に成長した。近い将来、株式の上場を目指している。

 それぞれ日本ブリタニカに入社。英語教材の営業成績で世界一の記録保持者である二人が、四年ぶりに新宿駅でばったり再会し、「私が帰るまで、これで商売をしなさい」というルカの福音書一九章の言葉に導かれて起業。社名も「ルーク19」に。

 本書は、超多忙なビジネス・ウーマンの視点から見た、肩のこらない「聖書の説明書」である。二人の生い立ち、神との出会い、一緒に起業するまでの経緯、会社経営にまつわるエピソードをちりばめて一気に書かれた、生きのいいあかしの本でもある。わかりやすくて非常におもしろい。聖書の言葉が満載されている。

 本書を読むと、元気印の彼女たちのパワーには圧倒される。次々に生じる難問題にチャレンジして、これを乗り越えていく。どこからこんなに明るい勇気と強烈な力がわいてくるのだろうか。もちろん涙の舞台裏もあるが。二人とも、ふだんは、しとやかなふつうの女性である。だが、これほど正反対な性格のビジネス・パートナーもめずらしい。しょっちゅう喧嘩しているらしい。でも、すぐに仲直りする、これほど仲のいいカップルもあまりない。彼女たちを固く結んで力強く動かしているのは、神に対する子どものような単純な信仰だ。底抜けに明るい。自由で行動的。新しいタイプの、いや、本来あるべきクリスチャン像を二人に見る。

 クリスチャンでない人向けの絶好の伝道ツールである。突拍子もない数々の奇跡の体験談から、クリスチャンも、「神を信じるって、こんなに驚くべき恵みと、とてつもない祝福の世界に生かされることなんだ!」という確信が深まる。一度読んだら、元気百倍になる。