ブック・レビュー 『これではご主人お気の毒!?
夫を救いに導きたい女性への11のチャレンジ』
植竹 利侑
単立 広島キリスト教会牧師
ユニーク、かつ鋭い聖書的夫婦観
私はこの本を、うなりながら読んだ。そして、著者古林三樹也師の正直さ、真面目さ(そして幸せさにも)、改めて敬意を表したい。奥様であり、南大阪聖書教会の牧師でもある寿真子夫人の才能、魅力ある指導性については、知らない人はほとんどいないと言ってよいほど著名である。
古林師は、教会教育の指導者として、愛車を馳せて全国の教会を巡回し、教会へたまに帰ってくると、新しい教会員から「いらっしゃいませ。どうぞこちらへ……」といって案内されるほどだというくらい、全国を飛び回っておられた。
牧師の妻を持つ夫として、著者の正直な告白を少し聞いてみよう。
「私は、彼女(妻)が……主のために翔び続ける、おてんばさんであり続けてもらいたいこと(奥様業に埋没しない女性)を公言してはばかりませんでしたし、その方向に彼女はドンドン才能を伸ばし、おてんば性を発揮いたしました。千人の群衆の前に立っても、足一つ震えないおてんばさんに成長していました。
一方、これと矛盾するような、静かな、内面的な女性らしさを求める男性としての私の心は、家内が開拓伝道に没頭したこの五、六年、宙に浮いた状態でした。男としての自己主張や、翔んでる彼女を妨げない代わりに、心は貝のように自然に閉じてしまって、自分の人生だけを考えるようになりました」(本文より)夫たちの本音を代弁しつつ、聖書の教える女性像、夫婦像に基づいて、奥様方に「無言伝道」「教えるな」「*バカ*を旗印にしよう」など、配偶者伝道のための十一のチャレンジがなされている。そのどれをとってもユニークで、かつ鋭いものである。
本書は、著者の深い苦悩と経験から生まれた、見事な女性観が含まれた素晴らしい内容である。この本の中の教訓を、ぜひ教会の女性の方々に、特に牧師夫人に読んでいただきたいと思う。