ブック・レビュー 『はい、私は牧師夫人』
朝岡 満喜子
日本同盟基督教団・徳丸町キリスト教会教会員
牧師の妻であることは特権です
まず初めに、この本を翻訳してくださった山下章子様と発行してくださったいのちのことば社に感謝申し上げます。読んでの感想は、「もう一度、牧師夫人に召されたい」です。神様が、どの職業にも代え難い牧師という尊い務めに召された夫のパートナーとして、同じく神様にお仕えすることができる光栄と栄誉ある立場が牧師夫人です。私も二十五年前に夫が召されるまでの二十年間牧師夫人でした。共に福音宣教、牧会に携わることができたことは大きな恵みでした。「涙とともに種を蒔く」ことが多かったことも事実ですが「喜びながら刈り取る」方が勝っていたことを、この本は思い出させてくれました。
著者は知性、教養に恵まれ、成熟した人格とキリスト者としての霊性の高さを備え、福音的な牧師家庭に育ったという背景を持ち、自身も牧師夫人を経験する一人として、牧師夫人が抱える問題、悩み、苦しみ、困惑等々に具体的に丁寧に語ります。何よりもその裏付けが聖書の言葉に依拠していることが読む者に光を与え納得させる力があります。
本書は、牧師夫人のアイデンティティーを養う示唆に富んでいます。著者が学んだ神学校には妻のためのプログラムがあると知り、日本でもぜひ、と思います。また日本では牧師になるための認定制度、研修会は必ずあるのに、夫人についてはほとんどなく、各夫人が孤軍奮闘の末、疲れてしまうという状況ではないでしょうか。
各章毎にディスカッションガイドもあり、自分の状態を吟味できるので有益です。「召命感の確認」「夫人相互の学び合い」「関係づくりの基本、神│夫婦│親子│隣人」等々、どのテーマも「神を愛すること、自分を愛するように隣人を愛すること」というキリストの恵みの教えに集約されていると感じました。
牧師への言葉「牧師としての祝福は、あなたがどれほど妻を愛しているか、尊い重要な助け手として招き入れているかにかかっています」
牧師先生方、奥様と読んでください!