ブック・レビュー 『ひとりの小さなおともだちが』
杉本 玲子
新生キリスト教会連合 町田クリスチャンセンター 教育主事
感動し、悔い改め、そして励まされる本
お年玉にもらった二千円をすべてイエス様にささげたチカちゃんの証し。離婚して家を出て行ったお父さんのために祈って、お父さんが帰ってきたけん君の証し。お父さんとお母さんがけんかをするとトイレでお祈りするたいき君の証し。自分の命を翼くんにあげた守くんの証。教会に花火を投げ込んだ中学生五人を犠牲的な愛をもってしかったゴンベイ先生の証し。万引きと家出を繰り返す女の子を養女として引き取って育てている泰子先生の証し……。この本には、現代の日本の教会で本当に起こっている奇跡のような証しがいっぱいつまっています。感動して一気に読ませていただきました。
でも二回目に本を読んでいたら、なぜか胸が苦しくなりました。同じ日本の教会に、小さなひとりのおともだち(子ども)を本気で愛して、こんなにまで犠牲をはらい、命がけで仕えておられる先生方がいらっしゃるのに、一体自分は何をしているんだろう……そういうつらい思いになったのです。こういうこともできるはずなのに、何にもしていなかった。神様、役立たずの僕をお許しください……。そして、悔い改めに導かれました。
でも三回目にまた本を開いた時、こんなことばに目がとまりました。「歳をとったからってできないんじゃないよな。神様が助けてくださったらできるよな」「そう! できる!神様が助けてくださるもの」そしてすごく励まされました。
そうなのです。時間があるとかないとか、教会が大きいとか小さいとか、奉仕者が多いとか少ないとか、あるいは、若いか歳をとっているかとか、そういう問題ではないのです。ひとりのおともだちを本気で愛していけば、神様が 助けてくださるのです。おともだちに祈ってもらえば、祈りはきかれるのです。教会のみんなで何回もこの本を読んで、本気になって実践していくなら、きっと本書の続編があなたの教会から生まれるでしょう。
この本は、本棚にしまっておかないで、聖書の隣りに並べておいて、おともだち伝道に疲れを覚えた時、開かせていただきたいと思います。