ブック・レビュー 『ひとりぼっちで明けない夜に』

『ひとりぼっちで明けない夜に』
平田 美保
日本バプテスト教会連合 国分寺バプテスト教会員

人生を のろい のなかでのたうちまわるか、美しいものにしていくか

 著者は大分で宣教師をしている独身女性である。読み終わりその一貫した自分の弱さを隠さない正直な態度に恐れ入った。

 「独身者は、独身である自分が他の人の目にどう映っているかに心を奪われ、自分はどこかおかしいのでは、変人だと思われているのでは、一生結婚できないのではないか、という多くの恐れと不安にさいなまれている」という部分には独身女性の一人として共感を覚えた。神は確かにその状況にいる一人ひとりをよくご存知で、それぞれの最善をいつも与えてくださる方だ。

 しかし、彼女は、独身であることが、いかにつらいことであるのか、それがカリンさんの人生に対する神のご計画であり贈り物であると神から言われても涙が溢れてしまうことがあるのだと正直に告白する。さらに「独身は贈り物であると同時にのろいでもある」と彼女は言う。反感を覚える人もいるかもしれないが、結婚が祝福であることから考えてみるとその逆として理解がしやすいのではと思う。

 「結婚」という祝福を与えられない独身者がそののろいの中で、神のみこころを探っていくのは容易なことではない。独身者に与えられている選択肢はそののろいの中でのたうちまわるか、その現状を神にお渡しし、自らの人生を神に栄光と栄誉をもたらす美しいものにしていくかの二つに一つなのだ。

 キリストによってすでに完全な救いのうちにいる私達は、結婚していないから不完全だということはない。神は私たちを常に祝福の道へと導く。そのイエス様に焦点を合わせていく中で人生に喜びが呼び戻される。この本の目的は独身の方々が今置かれている状況に「満足」し、独身であることを神からの贈り物として「受け入れ」、それを「神の栄光のために用いていただく」ことにある。結婚している人も結婚していない人も共にこの本を読んで、独身者の実際を、ぜひ知ってほしい。