ブック・レビュー 『わたしがママのこでよかった?』

わたしがママのこでよかった?
森住 ゆき
日本福音キリスト教会連合 前橋キリスト教会 会員

神さまから受けている無条件の愛を子どもに示したい

 一日の終わり、やわらかなベッドの毛布の中から、「ちっともねむくない」しろくまの子が尋ねます。「ママ、ルルはどこからきたの?」「かみさまのところからよ」おかあさん熊は答えます。

 そして、神さまからルルを授かった時の深い喜び、ルルの存在が今どれほどいとおしく大切なのかを枕辺で諄々と語りかけます。

 それでもルルはなお確かめないではいられません。「ママは、ルルがママの子でよかった? それとも、あざらしのサミュエルとか、きつねのフレドリカみたいだと、もっとよかった?」

 思えばわが家の一人娘も、お友だちが家に来てにぎやかに遊んだ日や、私にぴしゃりと叱られた日の夜などに、突然「おかあさん、わたしのこと大好き?」と真剣な顔で尋ねることがあります。幼くはあっても、いえ、すべてにおいて弱く幼いからこそ、自分自身の価値、注がれている愛情のゆるぎなさを何度でも確かめずにはいられないのです。

 他のどんなすてきなお友だちよりあなたのことが大好き。おとうさんとおかあさんは、あなたがどんなひどい失敗をしたとしても、あなたを嫌いになったり、見捨てたりできないようにイエスさまがしてくださっているの。あなたは神さまがくださった特別な子なの。だいじな子なの。という言葉を、ことあるごとに何度でも、繰り返し聞きたいのです。

 絵本の中で、母熊はわが子の問いかけに、たとえ世界をそっくりあげるといわれても大事なあなたを手放したりはしないと答え、こぐまは「ほんわか、とろーり、しあわせ」で、何の心配もなくなり、安らかな眠りについてゆきます。

 子育ての現実は、親が子に与えたり残したりできるものは実に少ないと気づくことでもありますが、この絵本は、まず親である私たち自身が神さまから受けている無条件の愛を子どもに示し、手渡していくことの助けとなってくれるでしょう。幼いお子さんのいる末信者の方へのアプローチにもふさわしい一冊だと思います。