ブック・レビュー 『サイズ別に分析する教会形成の方策』
川崎 廣
アジアンアクセス・JCGIネットワーク総主事
アイデアが枯渇し、行き詰まってしまった牧師の物語
「フリーサイズが皆に合うとは限らない」。主の教会を委ねられている牧師のほとんどは、何とかその教会が健全に整えられて、成長することを願って、日々苦心していると思う。そしていろいろな研修会に出たり、情報を得たりして、それを自分の牧会する教会に適用しては試行錯誤を繰り返していることが多いのではないだろうか。
この本はその書き出しに「これは、自分の教会の成長と霊的成長を促そうとして、あらゆる手を尽くした挙句、アイデアが枯渇し、行き詰まってしまった牧師の物語です」とあるように、教会形成やリーダーシップに関して私たちの周囲に出ている多くの情報が、そのままどの教会にも適合するものではないことを指摘している。
著者は、これまで五百以上の教会にかかわってきた経験から教会の規模を大、中、小の三つに分類し、それぞれの特徴を良く分析して、それに合った対応の必要性を提示している。二百人までが小規模教会、四百人までが中規模教会、それ以上を大規模教会としているが、訳者が「あとがき」で紹介しているように、日本ではこれを四分の一にして考えるとよいのかもしれない。米国でも最も数が多い小規模教会の特徴についての分析については興味深いものがある。
本書は、教会のそれぞれの規模ごとに、十二の項目にわたって、教会形成のあり方を物語形式によってわかりやすく解説しているので、読みやすい。
私は教会成長研修や教会開拓に取り組んでいる教会の励ましのネットワークにかかわっているが、時としてその働きに迷いを感じている牧師たちに出会うことがある。その教会の置かれている状況の中で、何が必要なのかを見極め、適切に対応することが求められる。そのようなときには、本書を教会の役員や影響力のあるリーダーたちとともに、読書会などで分かち合いながら教会形成に取り組まれることをお勧めしたい。