ブック・レビュー 『ジーザス・バイブルストーリー
 旧新約聖書のお話

『ジーザス・バイブルストーリー 旧新約聖書のお話』
小宮山 賜夫
日本アライアンス教団 呉教会牧師/JTJ宣教神学校講師

幼子のような心で読める絵本

 「ねえ。次は? 次は? 誰のお話?」

 なんておねだりしながら、お母さんの膝の上に抱っこされた幼子のように、聖書全体の物語を読み聞かせて貰えたら、どんなに幸せだろうなあと想像してしまいますね。

 この絵本を読み進んで行くと、僕には、ぱあっとよみがえってくる光景があります。それはCSクラスの終わりの時に一番楽しみだった紙芝居タイムです。

 この絵本の章題での「はじまりはじまり」のアダムとイブ、「新しい歩み」のノア、「わらいの子」のアブラハムとサラとイサク、「ゆるしの王子」のヤコブとヨセフ、「神さまに助けられた人々」のモーセ……これらの旧約の物語と名前は全部紙芝居で覚えました。僕はなぜか、この絵本にもある「神さまからの使い」のヨナの物語が大好きでした。あれが僕の旧い約束の世界のイメージだったのでしょうね。

 そして、待ちに待った新約のイエスさまの物語「とうとうやってきた」。翻訳も新約になると生き生きした言葉に感じるのは僕だけではないはずです。読者も生き生きと引き込まれて行くでしょう。これこそが「新しい約束」なんだなと……。

 そのジーザスが下さった唯一の「主の祈り」「どうやって祈るの?」では『こんにちは、おとうさん』と表現されています。イエスさまは父なる神を、遠くにいる怖い存在ではなく、アラム語の『アッバ』即ち「お父さん、お父ちゃん、とーたん』と、すごく身近な温かさとして呼んだのです。いいですよね。この「主の祈り」。さすがサリー・ロイド・ジョーンズ先生だと納得です。

 翻訳も見事ですし、絵も親近感がわきます。それに見開きで縦になったり斜めになったり動きがあって楽しくなりますね。この絵本を毎日少しずつ読み聞かせてもらう幼子は、きっと大人になったら自然に聖書を手にとり、しみじみとジーザスの「救い」に出会えるでしょう。

 あなたも幼子の心に戻ってみませんか。