ブック・レビュー 『ヤベツの祈り』
中野 雄一郎
JTJ宣教神学校 学長 北米ホーリネス教団 巡回伝道者
小さな祈りと大いなる祝福
先日シカゴのあるコーヒーショップに入ったとき、一人の女性が、熱心に『ヤベツの祈り』を読んでいました。ハワイに向かう飛行機の中で青年が、食い入るようにこの本を読んでいました。本書が全米で800万部も売れたというのは本当です。私は「なぜこんなに読まれているのですか?」と多くの人に尋ねられ、「そうですね、とてもシンプルで読みやすく、キラリと光るものを感じられるからではないでしょうか」と答えています。どんなところに、その光るものを感じるのかは、人によってちがうのでしょうが、とにかく心に触れるものを本書はもっているようです。
伝道旅行に出発する朝、娘に「お父さん、この本読んだ?」と気軽に渡されたのが英語版でした。カナダのエドモントンの教会で奉仕を終えた翌朝、あの同時多発テロ事件が起こりました。日程が狂い、旅行そのものが危険となりました。けれどもちょうどそのとき第五章を読んでいて、「わざわいから遠ざけてくださいますように!」という祈りを身をもって体験しました。そしてもちろん無事にハワイに戻ることができました。
日本語版が出版されたということを聞き、私は声を大にして、多くの人に薦めています。週末には日本を巡回していますが、メッセージの中で必ず触れるようにしています。
本書は、第2歴代誌4章9―10節に登場するヤベツという人物の祈りがテーマとなっています。七つの章から構成され、それぞれが簡潔で、また聖書の福音的理解に立って、実践的に書かれています。小さな祈りにこれだけの内容があったのかと驚かされることでしょう。
著者は、アメリカ本国で多くの霊的な働きをし、最近では「プロミス・キーパー」の働きでも有名な器です。例話が生き生きとしているのは当然といえるでしょう。
本書を読まれた方は、必ず霊的に恵まれ、そして生活が祝され、力強い信仰へと導かれるとかたく信じます。