ブック・レビュー 『健全な信仰とは何か』
坂野慧吉
浦和福音自由教会牧師
牧会者、臨床心理学者として霊的成熟について解き明かす
「宣教」の重要性が叫ばれながら、なかなか教会が前進していない現実、教会の内部の問題でエネルギーが費やされている現実を見るときに、いったい何が問題なのかと考えさせられます。「信仰とは何か」「福音とは何か」「救いとは何か」「教会とは何か」「真の霊的な成熟とは何か」についての誤解が原因ではないかと感じてきました。著者は、牧会者、臨床心理学者として「真の霊的成熟」を「霊的」「身体的」「心理的」「関係的」にとらえ、聖書的でありつつ、教会的、実際的にこの問題を解き明かしています。
- 本書を読んで教えられたいくつかのことばを紹介したいと思います。
- 「霊的成熟の基本は自立である。」それは、「霊的自立、心理的自立、関係的自立、経済的自立」である。(二一頁~四三頁)
- 「『霊的でも霊的に見えないことがある』ということを知ることは、霊的成熟を目指すには不可欠なことです。」(四六頁)
- 「霊的領域と心理的領域は完全に二分できるのではなく、相互に重なり合っている領域もありますので、両方のニーズが満たされるためには、神と人との相互依存的なかかわりが必要です。」(一〇七頁)
- 「教会は癒しの共同体」(一一四頁)
- 「このようなクリスチャン(信仰と人格が乖離している)が信仰的な態度でほかのメンバーとかかわっていても、その信仰が律法的な性格であると同時に、自分の人格の一部を否認しています。だから相手の人間性、とくに弱さの部分を受けとめることができません。」(一四九頁)
- 「霊的成熟の基本は自立である。」それは、「霊的自立、心理的自立、関係的自立、経済的自立」である。(二一頁~四三頁)