ブック・レビュー 『元気の出る聖書のことば
神さまの宝もの』
関根 一夫
ミッション・エイド・クリスチャン・フェローシップ牧師
どこを読んでもあたたかい一冊
『元気の出る聖書のことば』(神さまの宝もの)を心からお薦めします。確かに「どこを読んでもあたたかい本」です。この本の特徴は、本文の短さ、読みやすさ、学者らしい言葉へのこだわり、そして元気になって欲しいという岩本先生の読者への熱意にあります。
小さな本ではありますが、四部構成になっており、見事なメリハリがつけられています。それぞれの章には岩本先生の心の優しい視点がしっかり盛り込まれ、それぞれのページのエピソードを通して、神さまに愛されて生きるって本当にうれしいことなのだという「元気のみなもと」が伝わってきます。
「前」という言葉の謎とか、「かけがえのない」という言葉の分析とか、愛という言葉が「大切」と訳された経緯などの紹介は、岩本先生の専門家としての鋭い分析が光っています。ハッとさせられます。そして、先生の心を捉えて放さないいくつかの聖書の言葉からのメッセージ、最終章「イエス様の宝もの」という説教で締めくくられているこの本に出会って、神様に愛されていると元気になれるなぁと感じるのは私だけではないと思います。
聖書の言葉を取り扱っていながら、いわゆる教会用語や神学的な説明に終始する内容ではなく、心がほっとする内容をしっかり伝えることができている本として、この本の価値は高いと思います。
ネットにおけるコミュニケーションを深めてきた岩本先生ならではの視点や判断、言葉の選択における思慮深さがそこにはあるように思います。いわゆる説教者の独断的なひとりごとではなく、相手を意識し、きちんと伝えるべきものを丁寧に提示できているように感じます。だから、読んでいて取り残される感じではなく、温かい心が伝わってきます。私はナマの岩本先生の説教も大好きです。
どなたにも手渡ししたくなる良書です。心からお薦めいたします。