ブック・レビュー 『夕暮れ時に、光がある』
――キングス・ガーデン物語
毛戸 健二
基督兄弟団 名古屋教会 牧師
地域社会と密接な関係が結ばれる伝道
このたび尊敬する泉田昭師が『夕暮れ時に、光がある――キングス・ガーデン物語』を書かれた。私はすべてのキリスト者に薦めたい必読の書物であると思う。読みはじめは、まるで使徒行伝を読んでいるようであったが、終わりの第五章におよび、パウロ書簡の深遠なる霊的経験に導いてくれる貴重な書物であることがわかり、まず私自身が恵まれた。これは実にすばらしい活きた書物である。
師は1990年試練を経験され、失意の淵に突き落とされたという。そこでキリストの恵みに浴し、第2コリント12章9節のみことばで、全く新しい霊的体験をされ、その働きも、目的も、目標も、つまり人生そのものが一新され、実を結ぶ生涯に入れられたという第五章こそ、私たちすべてのキリスト者が見逃してはならない真理である。むしろ第五章から読まれたほうが有益かもしれない。そして何よりもすばらしいことは「定年のない人生」へと走り続けることのできるキリスト者の生き方に感動を覚えることであろう。
本書を読みながら、キングス・ガーデンの働きのすばらしさを改めて認識し、また神の働きと奇跡をこの目をもって知ることができ、祈りの偉大さ、キリスト者の一致と愛の実践こそ奇跡を生み出すものであることを自覚させられ、感謝な思いに満たされた。「小さな者に仕えること」これこそキリストの教えと生き方であると。
ともすれば私たち福音派は霊的面を強調するあまり、愛の実践面を軽視しやすい弱さをもっていることは深く反省する必要があるのではないだろうか。キングス・ガーデンにおけるすばらしい働き、その聖なる目的と目標を教えられ、私たちのなすべき努めである祈り・奉仕・派遣、献金などの責任を感じた。高齢化社会になりつつある我が国の現状、地域社会と密接な関係が結ばれていく伝道の必要性を本書を通して目が開かれた。神さまとこの名著を書かれた泉田師に感謝しつつ。