ブック・レビュー 『天国が見えるよ』

『天国が見えるよ』
小山 大三
単立ペンテコステ教会フェローシップ 岐阜純福音教会牧師

生涯現役を貫いた百一歳牧師のメッセージ集

 本書は「百一歳まで現役牧師」であった大嶋常治牧師が、七十年以上にわたる牧師経験から心血注いで書き下ろされた稀有の人による稀有なメッセージ集であり、二月十三日に多くの人たちに愛され惜しまれつつ天に召された、大嶋牧師の決別メッセージ集でもある。
NHK広島の企画により、大嶋牧師は昨年一月に「百歳バンザイ!」で百歳現役牧師として紹介され、一躍全国区の牧師として名を馳せ、百歳にしてますます多忙を極めた。
著者は七つの教会を歴任した牧師、神学校長、ラジオ牧師、著述家などとしてキリスト教界ではすでに広く知られる存在であった。長年の功績が認められ、二〇〇二年には、福音功労賞を受賞している。昨年のプロテスタント一五〇周年記念大会における大嶋牧師の力強く励ましに満ちた挨拶は、記憶に新しい。
評者は大嶋牧師と同じグループに属し、二十三年間親しくお交わりする機会を得ることができた。大嶋牧師は、頭脳明晰、ユーモアに富み、威厳があり、温かい人柄の紳士であった。後輩同労者たちを心から愛するだけでなく、意見を求められると預言者のごとく、しっかりとした口調で語られた。
申命記で、モーセはカナンの地を前にして、過去の四十年の旅を振り返り、神の言葉を余すことなく伝え、祝福ある未来を預言し、その後ピスガの頂から約束の地カナンを見渡した。本書は「真の神はあなたを愛しておられる」「救い主イエスは恵み深い方である」「キリストの聖霊はあなたの内におられる」「日本プロテスタント宣教一五〇周年記念大会へ参加して」の四部構成で、著者は、まさに申命記のモーセのごとく、キリスト教界の過去を振り返り、現在を見、未来を預言している。モーセが顔と顔とを合わせて親しく主と交わったごとく、著者は天国を垣間見せられ、主と実に親しく交わっておられた。
本書のメッセージは、珠玉のメッセージであり、後輩牧師のみならず、すべてのクリスチャンにとって有益なものである。すべての方々に本書を心から推薦したい。