ブック・レビュー 『夫と妻のしあわせづくり』
栗原一芳
日本キャンパズ・クルセード・フォー・クライスト代表
教会のリバイバルは家庭のリバイバルから
四月十六日の朝日新聞朝刊によると、この三年間でうつ病やノイローゼ、心身症、人格障害など心の病を抱える社員が「増加している」と答えた企業が五二%にのぼるという。最近の青少年の異常な犯罪を見るにつけても、その多くはルーツが家庭問題、夫婦関係にあるように思われる。社会の中には離婚や不倫を認めるような風潮があるが、いつも傷つくのは子どもたちである。最近は若いお母さん方の間に「子育てセミナー」のニーズが高いが、結局それは「夫婦セミナー」に行き着くのである。「子どもは親の愛のおこぼれで育つ」は古今東西を通しての真理であろう。さて、著者とは大学時代からの知り合いで、本書はその飾らない人柄のごとく、シンプルでとにかくわかりやすい。お高くとまったところがなく、ロックグループ「クイーン」やプロレスの話まで出てきて距離感を感じさせない。著者自身の証を含め、具体的な話で読者を飽きさせない。「特に男性は自我が弱いと言われます。三度の食事が必要なように、励ましが毎日必要です」。このあたりは思わず共感してしまう。
冒頭、夫婦の関係を「愛の銀行」に例えている。結婚後も「愛の銀行の口座」に定期的に預金しないと目減りしてしまう。預金高が多ければ幸いな夫婦関係に成長するという。「釣った魚にエサはいらない」で放っておくと愛の関係は冷えていってしまう。そこで、チャップマンの「五つの愛の言語」を紹介する。[1]肯定的なことば [2]クオリティ・タイム [3]仕えること [4]プレゼントを贈る [5]触れ合うこと。このひとつひとつを、例話を用いてわかりやすく説明してゆく。
そして、ああ、良かったで終わらせないため、各章の終わりの「考えてみましょう」のアクションポイントがついている。夫婦でも、教会の小グループでも、こういう質問で話し合ったらおもしろい。聖書的原則に立ちつつも、適度な聖句の引用で、これならノンクリスチャンにもプレゼントできる。教会のリバイバルは家庭のリバイバルから。本書を推薦します。