ブック・レビュー 『宗教法人・こんなときどうするQ&A110』

『宗教法人・こんなときどうするQ&A110』
峯野 龍弘
ウェスレアン・ホーリネス教団理事長 淀橋教会主管牧師

「いざ」というときの座右の「110番」

 このたび佐藤丈史氏の『宗教法人こんなときどうするQ&A110』が、出版された。日頃から親しく交わり、ご指導いただいている同氏の宗教法人の法務ならびに行政手続に関する最良の指南書である。

 同氏は、今日のわが国におけるキリスト教界のみならず諸宗教界にあって、屈指の卓越した宗務関係におけるスペシャリストである。日本キリスト教連合会や日本宗教連盟におけるいまやキーパーソンとしても、大いに活躍され、文化庁の信任も極めて厚い。本書は、その同氏が本務とする行政書士としての長い間の豊富な経験と実績の中から、実に適切かつ簡明にまとめ上げてくれた、誰にでも分りやすい宗教法人手続きに関する最良の解説書である。まさに「この人にして、この書あり」と絶賛したい。

 そこで若干その内容について言及すれば、本書は十章からなり、教会の設立から会堂建設を含むすべての運営、そして合併・解散に至るまで、およそ諸教会が直面するであろう法務手続きの全般にわたり解説されている。のみならず税務、遺言に関する解説まで網羅されている。

 そもそも本書は、過去に同氏の下に寄せられた多くの相談例を分析、類型化し、それを110項目に集約し解説したもので、とかく世情に疎く、法的知識や一般常識に欠けていると指摘されやすいお互い教職者、とくに若い牧師や教会役員たちにとって、「いざ」と言う際の座右の「110番」である。

 本書により「説教や言うことは立派だが、実務処理がなっていない」と言われないよう、社会的証しが立ち、さらに主の聖名の崇められるようよくよく学んで行きたいものである。

 ちなみに小僕の属する教団でも今後、同氏の前著『宗教法人の設立と運営のガイドブック』と合わせて本書を、神学校での教科書に指定し、必携の書として推奨しようと思っている。心から推薦してやまない次第である。