ブック・レビュー 『心の重荷に別れを告げて-詩篇23篇の約束』
信太 紀二
日本同盟基督教団 グリーンヒル福音教会牧師
15の重荷をおろして心休まる毎日を
「寂しさ それは、神のもっとも素晴らしい贈り物のひとつではないだろうか。」(本書一66頁)この「寂しさ」というやっかいな重荷も含めて、私たちは十五以上もの心の重荷を背負ったまま人生を送っているようだ。そんなたくさんのリュックやかばんをひとつひとつ取りおろして、心休まる毎日を過ごしたら、というのが牧師でもある著者マックスの提言だ。”You Are Special”(『たいせつなきみ』)で有名になった著者の詩篇二十三篇の講解メッセージでもあるが、人生相談ふうの読み物なので、思いあたる箇所をパッと開いて読んでも特効薬的にスッとする。
多くのクリスチャンが愛唱している二十三篇はわかりやすいせいか、私たちはさらに深い洞察に進まず、暗唱するだけで満足してはいないだろうか。著者はこの書で、私たちの人生のいろいろな局面で二十三篇がもっともっと有用なヒントを与えてくれる詩であることを告げる。
一読するとあらためて羊飼いダビデの信仰の生涯を思い浮かべるが、知らずに抱えこんでいる自分の心の重荷にも気づかされる。
終章にはそのまとめをしているが、信仰者である羊飼いダビデは王になっても、その節々で真の羊飼いであるお方を意識し、必要な助けを嘆願していた。その局面とは、恐れであったり、失望であったり、あるいは傲慢や欲望であったかも知れない。生身の私たちとまったく同じ問題で悩んだり心を騒がせたりしていたのだ。願った結果、ダビデは最善の解決を与えられたが、その解決法までも著者はそっと教えてくれる。
私たちの心の重荷は何だろうか。何トンの重荷を負っているであろうか。さあ、身軽になって人生の旅を歩むために、この書を拾い読みしても知恵をいただこう! 「あなたには神の宴の席が用意されている。」(本書200頁)
マックスとのコンビが長い訳者の、著者になりきった翻訳のおかげで、どの章も飽きずに読みきれるのも感謝である。