ブック・レビュー 『快老いろは川柳』
上手に年を重ねるための45章

『快老いろは川柳』
林 トミ
日本ミッション「よろこびの泉」編集者 / 単立 三島キリスト教会員

ここちよく年をとり、周りとうまくつきあうために

 まさに表題どうりの素敵な本です。

 「私が年取ったり、身体が不自由になったとき、トラブル・メーカーにならず、人に優しく、皆にかわいがられる好々爺になりたい。そのために、私自身への戒めを第一として書かれたものです」。老人ホームのカウンセラー兼、チャプレンとして、常時百人以上のお年寄りと、五十人の職員と、喜びも悲しみも分けあい、相互の大切なクッション役として十年間、働いてきた著者の現場からの声です。

い いらだちは命縮める諸病のもと
ろ 老獪にならず円熟求め老い
は 張り合いを見つけて元気今日もいく
に にこにこと忍耐いつしか相和して

 だれも避けて通れない生老病死の、ずっしり重い内容が、聖書の光の中で、また著者の温かい信仰の目ざし、誠実な、私心のない愛と祈りの日々から、ユーモアとなって語りかけてきます。一章一章に身近な例があり、思わず微笑んだり、ドキリとしたり、読みながら、もっと早く気づくべきだったと、わが身を深く反省させられました。

 そして誰もが一人では生きられない自分の老いの日を、美しく幸せな心で生きるために、何を求め、何を避けるべきか、肉体的な外面よりも、むしろ内面的な精神面に強い光を受けました。

 「『その人が幸福だったか、不幸だったかは、その人が死んだらわかる』という人もいますが、私は、本当に幸せな人は、『毎日を愛と喜び積み重ね』る人だと思います。なぜなら、私たちはお互い、明日どうなるかもわからないのです。……今日が、今がこの瞬間が大事なのです。」

 実は七十代半ばの私が、今一番必要な、読みたかった本にめぐり合った喜びと感動を受けています。ぜひ一人でも多くの方に読んで頂きたく、またお読みになった方々に、本書出版のすばらしい願い、目的が豊かに実りますようにと祈っております。