ブック・レビュー 『愚かな女は騒がしい。賢い男は珍しい。』

『愚かな女は騒がしい。賢い男は珍しい』
松元 牧子
キリスト者学生会 主事

「結婚」……若者の切実な課題に切り込む

 前作『この人と結婚していいの?』(新潮文庫)と同様インパクトのあるタイトルである。誰かを思い出して「確かに」とニヤリとする人、自分自身を指摘されているようでカチンとくる人と、反応は二分されるのでは…。

 タイトルだけみれば巷に溢れている恋愛のためのHow to本の一種かと思うが、実際は聖書の語る男女観・結婚観を分かりやすい言葉でストレートに書いている。しかも現代の恋愛・結婚事情に即し、豊かなカウンセリングの経験の中での分析と御言葉からの問題提起に引き付けられる。

 クリスチャン学生の多くは素朴にクリスチャン同士の結婚に期待している。そしてクリスチャン同士が結婚すれば半ば自動的に幸せな結婚になるとどこかで信じている。その彼らの恋愛・結婚に関する情報の大部分は一般のテレビ、映画、雑誌から入るため、本書は夫婦のコミュニケーション、親との関係、セックスの問題など結婚における実際の課題を聖書を基盤にして理解するための助けとなる。

 また、恋愛・結婚は未信者の友人と良く話すテーマでもあり、クリスチャンとしての生き方を分かちあう機会でもある。未信者の友人を取り巻く恋愛・結婚事情の混迷具合や傷の深さに圧倒され、聖書の語る結婚観からあまりにもかけ離れた現実を前に何から話せばいいのか分からない、そんなもどかしさを味わう事も数知れない。

 未信者の友人と本音で分かち合えるこのテーマについて気軽に読んでもらうことができ、イエス・キリストの福音も十分語られている本が出版されたことは本当に嬉しく、ぜひプレゼントに使いたい。

 ただ「愚かな女」「賢い男」についてはもっと聖書から解説が欲しかった。インパクトのあるタイトルだけにやや肩すかしのようにも感じるが、一人でも多くの方がこのタイトルに惹かれ手に取り、聖書の語る結婚のすばらしさを知ることができるように祈る。