ブック・レビュー 『愛ことば』
Migiwa
シンガーソングライター
聖書用語は出てこないけれども、そこには確かに希望がある
「絵本」というと、子どものものというイメージがありますが、最近では大人のための絵本が一般の書店で目に付くようになりました。それらの中からいくつかを手に取ってみると、いわゆる「いやし系」で疲れた現代人へのメッセージを含むものが多いように思います。たとえば「泣きたいときは泣くのがいい」「時がすべて解決する」というような、抽象的で、どこか根拠のない励まし方をしている印象を受けていました。以前から私は、みなみななみさんの、クリスチャンがあまり触れないところに、ずばずばと切り込んでいく飾らない作風が好きでした。それと同時に、クリスチャンではなくとも、だれが読んでも共感しやすいところが好きでした。
今回の『愛ことば』は、みことばをななみさんが感じたままに、だれにでもわかりやすく、親しみやすく、そして愛らしい言葉づかいで綴った絵本です。
絵はnocoさんがあたたかく描き、一見とてもおしゃれで今っぽい。しかし読んでいくにつれ、ちまたの絵本とは明らかに違うことがわかります。聖書用語はほとんど出てきませんが、そこには確かに希望があり、ベースにはみことばが息づいています。
そして「あとがき」では、ななみさんの証しを織りまぜ、上手にそしてしっかりと、伝道していることに感動しました。
これを読み終えた時、わたしの中にうれしさがあふれました。ノンクリスチャンの若い人に抵抗なく渡せる伝道ツールを見つけたと思ったからです。
宗教というものを、反発的にとらえてしまいやすく、伝道をすることも難しくなった現代人の心にも、神様の「愛ことば」が、きっと優しく入り込んでいくはずです。
友だちを教会に誘う勇気がなかなか持てない方には、ぜひこの絵本をプレゼントなどに用いてほしいと思います。もちろん、クリスチャンが読んでも、幸せな気持ちになれる素敵な絵本です。