ブック・レビュー 『日々、聖霊に満たされて』
A・W・トウザー聖書日課
村上宣道
太平洋放送協会理事長
静けさの中で神を待って行動に移ることの大切さ
本書は三百六十六日、毎日読むようになっている、いわゆるディボーションのために編集されたものである。著者のトウザーは「ものごとの神髄に迫る深い読みと真理を求める徹底した探求心」に富む方だと、訳者あとがきに紹介されているが、読み進む中で、まさにそれは納得。訳者はその深さを日本語で表現するのに相当苦心されたようだが、それを「直訳に近い形にし、読者に読み取っていただく」とした意図は成功だったように思う。すーっと読み過ごすことなく、一行一行を大切に味わって読ませてくれるからである。本書は一貫して表題の通り「日々、聖霊に満たされて」生きるには、に焦点を絞っている。そして、その大切さと方法について、日ごとにみことばを味わいながら身につけていくための最良の手引き書ともなる。
十月十三日の箇所には「神の聖霊の臨在と力は、私たちのキリスト者生活の中でオプションの贅沢品ではなく、絶対に必要なものであることが、今や明らか」とある。それは引用されているシンプソン博士の言うように「聖霊に満たされることは、呼吸するのと同じくらい」キリスト者として生きるためには不可欠なものであるが、私たちが「単純に息を吐き、息を吸う」ように、難しいことでも特殊なことでもないと教える(十二月十二日)。
全部を読み通して、深く心に留まった一文がある。「今日、私たちが失敗しているのは、事前の孤独、不活動がないまま、宗教的活動をしていることである。それは神の御霊に満たされるまで、神と二人だけになり、黙って静けさの中で神を待つことである。それから行動に移るなら、私たちの活動は神によって整えられたものとなり、実際に成果を挙げることになる」(二月二十一日)。
本書を片手に「御霊に満たされるまで」「黙って静けさの中で神を待つ」生活を日ごとに始めるなら、私たちの生活、奉仕のあり方が変わるのではあるまいか。どなたもが「神によって整えられたもの」となるために、必ず手にしてほしいお薦めの一書である。