赤江弘之
日本同盟基督教団 西大寺キリスト教会牧師

みことばだけ、だからこそ御霊に期待して祈る

　私たちの教会では、ずいぶん前から礼拝の新来会者にキリスト教入門書をプレゼントしています。せっかくの来会者に対して、福音を伝える最善の機会を提供するためです。それは、福音の全体像を少しでも早く、有効に伝えるための非常に良い方法です。どのような本が良いのかがいつも課題でしたが、本書はそのような目的にふさわしいと思い出版を喜んでいます。

　本書は、「あなたは愛されている」「行き詰まっても大丈夫」「怒りからは何も生まれない」という身近な生活に密着したテーマをもうけ、それぞれのテーマにふさわしいいくつかの聖書のみことばを提示しています。初めての方でも興味深く読め、そのテーマに対する答えが聖書のみことばにあることが分かっていただけるのではないかと思います。

　一ページにひとつという体裁で、みことばだけをシンプルに、そして大きな文字で示しているので、活字ばなれしている人やご高齢の方にも読みやすいのも魅力の一つです。

　特徴として、みことばの持つ意味を、読者が自発的に学ぶ資料が提示されていることが挙げられます。巻末には、本書に引用された聖句とそれぞれ関連のある『ロビンソン・クルーソー』や『若草物語』などの文学のまめ知識、またその聖句に影響を受けた偉人たちなどが紹介されています。みことばが書かれている聖書の文脈も、解説されています。

　メッセージは語られず、ただみことばを、そして巻末に解説があるという内容なので、押し付けをいやがる若者にも、受け入れられやすいのではないかと思います。そしてだからこそ、みことばと共に働く御霊に期待して祈ることができるのです。

　このタイプの本は今までに少なく、その新奇さが魅力です。この本が、教会や個人のプレゼントとして多くの人々の手元に届けられ、親しまれ、求道心が起こされるために豊かに用いられますよう願っています。