ブック・レビュー 『生と性』
創世記1-3章にみる「男と女」

『生と性』創世記1-3章にみる「男と女」
金井由嗣
関西聖書神学校 舎監

性に関する悩みと痛みに聖書から解決を見いだす

 特に次のような方々に、この本を読んでほしいと思います。

 [1]性に関する問題で悩んだり傷ついたりしている人。 [2]性に関する問題で傷ついている人々の姿に心を痛めているクリスチャン。 [3]性に関する問題で傷ついている人々がいるという現実を、本当はよくわかっていないクリスチャン。

 私自身も含めて、多くのクリスチャンが[3]に分類されてしまうのではないかと、ひそかに恐れています。それは教会につながる若者たちが先輩のクリスチャン(特に牧師!)に本当の悩みや問題を打ち明けることができずにいるのではないかと危惧しているからです。また、イエス・キリストのもとに来ることを考えつかずに、何か別のものへ救いを求めている人が多いのではないかと感じています。もしそうなら、先に救われて教会につながっているクリスチャンが、真っ先に性について考える必要があります。

 この本の著者は、長い間大学生伝道に携わるなかで、学生たちの具体的な性に関する悩みや痛みと向きあってこられました。問題をかかえた人を拒絶せず、その人格を受け入れたうえで誤りを正しく指摘し、本来のあるべき生き方を示してきました。難しい課題に現場で取り組んできた経験がこの本の背後につまっています。

 この本は、創世記一~三章の聖書研究を土台として、婚前交渉、自慰行為、性の欲求、男女交際などの実践的な問題を取り扱っています。多くの問題に取り組んでこられた著者だからこそ、しっかりとした聖書的基盤を持つ必要を知っておられるのでしょう。

 性を蔑視したり遠ざける禁欲的態度と、性を賛美し謳歌するこの世の風潮の間にあって、神様が人間を「男と女とに」創造されたという聖書のことばに立って正しい人間観・価値観を持つことが大切だと思います。すでに性の問題に取り組んでこられた方にも、あまり深く考えてこなかった方にも、一読を強くお勧めします。