ブック・レビュー 『登れない山はない』

『登れない山はない』
李康憲
東京中央教会牧師

信念の上に信仰を持つ著者の生き方が障害者に尊厳性を与える

 信念と信仰は類似点もあるかもしれませんが違うことです。世の中には信念を持って逆境と難関を克服して成功する方もいますし、それによって多くの方々を感動させる人もいますし、人々の役に立つ人もいます。しかし、カンヨンウ博士は信念の上に信仰を持ち、視覚障害を克服したのはもちろんのこと、それを肯定的な資産に変化させ、多くの障害者に尊厳性と自信感とそして信仰を与えています。本書はこの価値のある経験を証しし、それを教育学的な側面からだれにでも分かりやすく書かれ、博士の背後には神が生きておられることが良く分かります。

 人の力には限界があります。だれが著者のような環境の中でこのようなすばらしい業績を残した人がいるでしょうか。彼は波乱万丈な人生を送りながら、すべてのおかれている難関を克服し偉大な業績を残しました。彼は国際教育再活(リハビリテーション)交流財団の創立会長でもあり、様々な所で世界的に活躍しておられます。

 博士の信仰生活、家族の愛のきずな、犠牲と献身的な生活の模範は、すべての人に感動を与えかつ必要なもので、その子どもへの教育方法は、信仰と希望と愛にまとめられるのです。

 本書では、何よりも教育理論を実践することにおいて最高の力になる信仰の役割について、明確に具体的な例を挙げながら示してあります。また、若者たちに夢と幻、使命と目的、肯定的な態度と正しい価値観の定立、何よりも個人的な信仰の役割の重要性などをいくつも確認することができます。

 本書の題名はだれでも認め、なっとくできるものではないかと思います。神が人間に与えられた無限に等しい可能性を私たちが見いだすならば何一つ登れない山はないでしょう。本書はその秘訣を分かりやすくかつ教育学的な側面から書き下ろされている本であると思います。本書が一日も早く、そして日本の多くの方々に読まれることを期待してやみません。