ブック・レビュー 『私たちに現された神のみこころ』

『私たちに現された神のみこころ』
星出卓也
日本長老教会・西武柳沢キリスト教会牧師

神のみこころを求める喜びをさらに深く知ってほしい

 「神のみこころを求める」ということは私たちにとってどんなにか重要で、ひとかたならない課題ではないでしょうか。転職や結婚という人生の岐路、時には心痛む決断に迫られて、主のみこころを求める兄姉方の悩みは大きいことを覚えます。

 すべてのクリスチャンが向き合う「神のみこころを知る」というテーマに、本書は明快に聖書の光を当てている傑書です。

 占いのように指示を求める傾向から始まり、神のみこころを求めるうえで私たちが陥りやすい誤解を、聖書の創造、聖定、贖い、聖化の教えから原理的に解き明かしていきます。そして人間を「神のかたち」に創造された神のみこころに照らして、神との愛の交わりに入れ、神に愛をもって応答する者として創造された神のみこころを丹念に整理して展開して行きます。その神のみこころの素晴らしさ、クリスチャンに与えられたその言い尽くし難い特権にこの書を読むごとに目が開かれ、心躍らされたことを覚えます。

 神は決してマニュアルのように機械的にみこころを示されず、私たちが主体的に、能動的に愛によって神に応答することを求めます。時に思うように道が開かれず、悩む長いトンネルを越えながらも、その中から喜びのうちに愛をもって神に応答する道を開かれた者は、その経験を通して以前にも増してより深い神との交わりに導かれ、より深く主を信頼し、愛する者へと変えられることでしょう。

 遠大なテーマでありながらも、この書は決して抽象的・難解にはならず、クリスチャンライフ全般に実際的に展開しています。拝読して感じることは、著者のあたたかい愛に満ちた牧会的な視点です。それは、著者である清水武夫牧師が牧会する玉川上水キリスト教会における一年以上にわたる主日礼拝説教の中から、この書が生み出された所以でしょう。

 すべてのクリスチャンに、この神のみこころを求める喜びを知ってほしいと願ってやみません。