ブック・レビュー 『静かな風』生活の中で主を発見する

『静かな風』
竹内 里子
日本福音キリスト教会連合 永福南キリスト教会 牧師夫人

「静まり」のための手引き書

 先日、老人介護に行き詰まりを覚えていた友人が、教会の「マルタとマリヤ」の個所からの聖書研究会に出席したその数日後、教えられたことを分かち合ってくださいました。

 「マルタのように心がパンパンになっている時は、そのままイエス様~と泣き言や苦情を言ってもよいし、イエス様はその時の私に一番必要なことを教えてくださる。つまり私の日常生活の隅々にまで関わってくださると確信でき、とても楽な気持ちで介護できるようになりました」とのことでした。

 日常の雑事に追われ、心配事にとらわれがちな私は、「主の御臨在の内を歩みたい!」といつも願いながらも時がすぎてしまうことに焦りを感じます。

 著者、片岡栄子さんは、そんな私と同じ目線に立って、その気持ちと闘いながら、どのように主との交わりを深めていかれたかエッセイ形式で本にまとめてくださいました。

 生活の中で生きて働く主を発見し、体験する時、私たちは主が与えてくださろうとしている、御霊の実である平安や愛、喜びなどを取り戻すことができます。

 著者はその素晴らしさをご主人の片岡伸光氏が召される前の本当に苦しい日々の中で最も強く経験されたのでしょう。ご主人の召天一周年記念会でお会いした時、そのことを確信できる静かな優しさと美しさをたたえておられました。主がキリスト者の内になしてくださる奇跡です。

 この本を読んで、なぜが自分自身をホッと取り戻すことができ、スーっと主との交わりに導き入れられている安らぎを覚えました。これから私も自分だけの静まりのための椅子を確保し、そこで静かにみ言葉に聴き、主からの語りかけをノートにとどめる、そんな一日一日を積み重ねていきたいと、肩に力が入る感じでなく、自然に願わされる「静まり」のための手引書になりました。