ブック・レビュー 『風よ あの子に伝えて』
フォーシーズン・チャーチ・カレンダー

『風よ あの子に伝えて』フォーシーズン・チャーチ・カレンダー
片岡 栄子
クリスチャン・ライフ 成長研究会 幹事

「もったいない」の元祖は教会だった!?

 この本が届いたとき、ハードカバーの愛らしい装丁に、いったいこれはどこの国の童話かしらと思いました。表情豊かな猫さんに四季折々の教会行事を案内され、読み進むうちに、子どものころの教会の行事やプレゼント交換、教師会で作ったイースターエッグのことなどを懐かしく思い出しました。著者もきっと教会でのさまざまな行事を思いっきり楽しんだ子どもだったにちがいありません。

 これは知人から聞いた話ですが、ある教会のキャンプファイヤーでは、輪になり、真ん中には焚き火に見たてたローソクをたくさん並べるそうです。さあ、これからいつものように、賛美して、証しして……と待ちかまえていたのに、だれも何も話しません。やがて、このキャンプファイヤーはちがうのだと気づきました。そうなのです。灯されたローソクの火が消えるまで黙ってその火を見つめて過ごすキャンプファイヤーだったのです。人の話がやむとローソクの火や木々や、夜空の星や月が、神様のことを語りだすのかもしれませんね。このように教会行事の情報を交換することもすてきです。

 クリスマスが近くなると、あちこちで見かけるドア飾りのリースは「ここが馬小屋です。救い主がおられますよ」というしるしだと知ったのもこの本からでした。

 ヨーロッパでは、金曜日は‘リザレクション’といって冷蔵庫や野菜かごなどに残っている食材を細かく刻み料理することで復活させるそうです。著者のお家では焼き飯。うちもそうでした!「もったいない」の元祖は教会だったのですね。‘もったいないかき揚げ’とか!

 シンガポールに住んでいたとき、イスラムやヒンズーの人たちが大切に守ってきたさまざまな行事を目にしました。こうした行事によって信仰が家族に受け継がれていくのだと感じます。イエス様とかかわった楽しい思い出を、子ども時代にたくさん持っているというのは、幸せなことですね。