ブック・レビュー 『 そこに喜びのあしたが! 』

『そこに喜びのあしたが!』
奥田 健一
日本福音キリスト教会連合 浜田山キリスト教会牧師

短いことばで、多くの人々に福音を!

信仰者として歩み始めたとき、牧師から教えられたことがあります。「自分の救いの証しを用意して、いつでも語ることができるといいよ。できれば三分、五分、十分で語れるものがあるといいよ」と。以来、そのことを意識し実践してきました。ですが、証しであれ、メッセージであれ、短い話ほど難しく、準備に時間がかかることを実感しています。
さて本書は、九名の牧師たちが(三十代から八十代まで!)、ラジオ・テレビを通して語った三分の聖書のメッセージをまとめたものです。
読む者にとっては、少し物足りなく感じられるかもしれません。値段の安さから、本書を軽く取り扱う者もいるでしょう。けれども、これらのメッセージには、それぞれの語り手の労苦の軌跡があります。何より著者の体験ではなく、聖書そのもののメッセージが、愛する同胞のたましいに届くように、との熱い思いが伝わってきます。
本書のメッセージには、当たり前ですが、語り手による多様さがあります。羽鳥先生のメッセージには、年齢を感じさせないみずみずしさが。関根先生には、隣にいる方に優しく語りかける雰囲気が。板倉先生には、たましいにグサッとささる問いかけが。また他の先生方のメッセージにも、それぞれの特徴があり、さまざまな人々に福音が届くようにという神さまの愛の配慮を覚えます。
ゆえに本書が、多くの人々に福音を伝えるよき器となると信じています。私たちの教会も以前同シリーズの書物を、クリスマスに来られた新来者・求道者へのプレゼントとして用いました。私自身も、「キリスト教をわかりやすく語っている本を」、と希望されたある年配の男性(青年であった息子さんを亡くされた方)に本書を届けようと考えています。短く証しを交えながら福音を語ることを望む者に、本書がよき見本になるのではと感じています。
本書を手に取る方が、「キリストにある喜びの明日」を迎えることができるのを願いつつ。