ブック・レビュー 『 元気の出る聖書のことば 神さまは見捨てない 』
岸田 悟
シオン・キリスト教団 茅ヶ崎シオン・キリスト教会牧師
元気を与えるいのちのみことばの力
岩本遠億先生の著書『元気の出る聖書のことば』がこの度、新装出版されましたことをうれしく思います。聖書からの六十のみことばそれぞれに、短いメッセージが添えられたこの本は、大きさも値段もお手頃で鞄に入れて持ち歩くにも、だれかにプレゼントするのにも最適です。
一日一ページ読んでも約二ヶ月分あるので、デボーションブックとしても活用できるのではないでしょうか。
聖書のメッセージには、恵みのメッセージとさばきのメッセージがあると言われます。確かに聖書のページを開けば、神さまの激しい叱責が書かれている箇所もあれば、慰めといたわりに満ちた箇所もあります。しかし、どちらも形を変えた恵みであり、根底にあるのは変わらない神さまの愛です。
聖書のことばからメッセージを語るとき、聖書の理解はもちろん、それまでの体験や生き方から形づくられるメッセンジャーの信仰が反映されます。あの先生のお話は厳しいとか、この先生は柔らかい、などと私たちが感じることがあるかもしれません。しかし、語られることが恵みであれさばきであれ、語る側が信仰によってそのみことばに立っているのでなければ、本当の意味で心に届きません。
今日、私たちは恵みのメッセージを好んで求める傾向にあると言えるでしょう。しかし語る側が本当に恵みを経験し、恵みに生きていなければ、ただの良いお話になってしまいます。そんなお話が人の心を新しく変えることはできません。
本書は、岩本先生が何度も傷つき悩んだとき、先生を励まし、立ち上がらせた聖書のことばがたくさんつまっています。先生がまずみことばに癒され、元気づけられている様子が伝わってきます。そこから湧いてくるものだからこそ、私たちの心にもしっかりと届くのです。耳ざわりが良いだけの応援メッセージではなく、いのちのみことばの力を信じたメッセージの数々です。私たちが元気をいただくのも納得です。