ブック・レビュー 『STAND:立ち上がる選択』
坪井節子
弁護士/NPO法人カリヨン子どもセンター理事長
まさに光の子としての歩み
価値ある一冊が与えられた。読んでいる間中、神のみことばが聞こえ、祈りがあふれる。アメリカでフォトジャーナリストとして働いていた著者は、自宅への侵入者に、レイプされる。全く予期しない理不尽な事件。恐怖や怒りに襲われ、加害者に似た男性を見るだけでパニックに陥る。平穏で安全な日常は崩壊する。加害者の捜査、裁判でのつらい戦い。転居、転職。乗り越えたと思ったころに現れた悪夢、うつ。救いを求めて教会を訪ね歩くが、支えてくれる教会に出会わない。死を思う日々。
しかし牧師の娘であった著者は、折に触れ、聖書を開く。そしてその都度、力強い神の言葉を聞くのである。
「立ち上がりなさい。これはあなたの仕事です。わたしはあなたを助けます。心を強くしてこれを行いなさい」(エズラ記一〇章四節)。
「一粒の麦がもし地に落ちて死ななければ、それは一つのままです。しかし、もし死ねば、豊かな実を結びます」(ヨハネの福音書一二章二四節)等々。
悲惨のただ中で、神の御旨を信じ、友人や支援者に支えられながら、立ち上がっていく。黒人教会にたどり着き、生きた言葉を語る牧師に出会い、勧められて獄中の加害者に手紙を書く。
ようやく解放を得た後、抑圧され孤立して苦しむ、性犯罪被害者のあまりの多さを知り、彼女ら、彼らの救いのために、被害者を訪ね歩き、話を聞き、写真を撮るというプロジェクトを始めた。それはいつか、全米に広がる性暴力被害者支援の活動の重要な力となっていく。
どのような事態に直面しようとも、すべてが神により備えられていることを信じて、立ち上がり、新しく生きていく著者の姿は、まさに光の子としての歩みである。彼女の撮影した写真と共に、多くの人を励ますに違いない。私のまわりにも、この本をすぐにも読ませてあげたい人が、たくさんいる。神様からの素晴らしい贈り物に感謝。