ブック・レビュー こころのミネラル
『聖書サクサク読解術』
持田 明広
インターナショナルVIPクラブ関西 会長 弁護士
クリスチャンではない方へのプレゼントに最適
肩が凝らずに聖書を学べる本が出た。特にビジネスマンにとっては待望の書といえる。聖書が必要な理由、読むためのヒント、奇蹟、イエスの弟子たち、罪と救い、十字架の意味などについて、わかりやすく解説されている。何よりも内容が押しつけがましくなく、クリスチャンではない方でも、抵抗感を持たずに聖書や福音について学べるよう配慮されている点がすばらしい。また『聖書サクサク読解術』のタイトルどおり、著者の歯切れの良い軽妙な文章タッチは、軽いノリで聖書や福音について学べるように導いてくれる。
それもそのはず。著者は、積水化学工業に長年勤務し、広報を担当するかたわら、日曜日になると牧師の代役を担い、二十年以上にわたって礼拝メッセージを語ってきたという経歴の持ち主。自伝『日曜日 部長は牧師になる』(小学館文庫)は有名だ。聖書や福音にほとんど関心を示さない人々、宗教を毛嫌いする人々に囲まれながら、クリスチャンとして厳しいビジネス社会を生き抜いてきた経験、特にマスコミなどを相手にいかに物事をわかりやすく伝達するかを使命としてきた経歴に加え、聖書を自ら学んで毎週の礼拝説教を準備してきた経歴、つまり「広報部長」と「牧師」という二足の草鞋をはいてきた貴重な経験が、ものの見事に本書に集約されているのである。
さらに、この本は、単に聖書の基礎的な知識、関連知識を読者に与えるだけでは満足しない。クリスチャンではない人がつまずきやすい「奇蹟」の記事の背後にも、「生きるためのヒント」が隠されていることを教えてくれる。著者は、「聖書を読みながら、時には立ち止まって『もし自分だったら』と考えてみてはどうだろう」と問いかける。聖書に照らして自分の真の(罪深い)姿を発見できるような読み方を、それとなく勧めているのだ。そのことが、やがてその人の十字架、救いへとつながっていく。
クリスチャンはもちろん、クリスチャンではない方(特にビジネスマン)にも自信をもって推薦できる一冊である。