ブック・レビュー しらがは光栄の冠、それは正義の道に見いだされる
田中 進
インマヌエル大宮キリスト教会
野田秀先生はこれまで多くの書を著してこられましたが、今回、一般の高齢者に向けてまた一つ書き下ろされました。すでにご自分も喜寿を越えたお一人として、「高齢者にとってきびしい現実が迫る時代にあっても、聖書の教える信仰が、高齢者に幸いを与えるものであることに変わりはありません」(六頁)と読者に力強く語りかけます。
まず、詩篇九十篇を、一つの詩として味わい、その後「幸い」という角度から、
「神を『あなた』と呼べる幸い」
「神に生かされている幸い」
「神に知られている幸い」
「人生に限りのあることの幸い」
「残された日々を感謝して生きる幸い」
「朝ごとに恵みを味わう幸い」
「神のご慈愛のもとに生きる幸い」
と七つの章に分けて、一般の詩集、映画になった小説やご自分の身近な体験などを折り込みながら、やさしく説き明かしてくれます。
高齢者に直接お話ししづらい重い内容も含まれています。例えば、読者自身の罪や死の問題。でもこれに真正面から向き合い、罪の解決、死の向こうにある永遠の希望を説き、それらひとつ一つを信仰を促しながら幸いとしてとらえていくのです。
私たちの国は東日本大震災により大きな悲しみと苦しみの中に置かれました。今この国に必要なのは、希望です。この書は高齢者向けに書かれていますが、希望を失いつつある私たちにも必要なメッセージです。
ゆっくり読んでも二十分もあれば読み終えてしまうのですが、一章ずつ味わって読むことをお勧めます。
『恵みの輝く朝』というタイトルにふさわしい暖かい表紙と挿絵、大きな活字。まだ聖書を読んだことがない、キリスト教の本は初めてという方も、ためらわずに手にとってみたくなります。私にはまだ信仰を持っていない義母がおります。今度会った時に、ぜひ手渡したい一冊です。