ブック・レビュー イエスか釈迦か『牧師さんになったお坊さんの話』

『牧師さんになったお坊さんの話』
川口 一彦
単立 名古屋北福音キリスト教会 牧師
日本福音キリスト教会連合 春日井福音キリスト教会 協力牧師

お坊さんがどうしてクリスチャンに、ましてや牧師になれるのか!

 本書は、どのようにしてお坊さんから牧師さんになったかのお話です。お話と言っても、その内容は読後感に満ちたもので友人や知人にもぜひ読んで頂きたいと思わせる信仰良書です。

 著者は、代々続いた天台宗の僧侶の次男坊としてお生まれになりました。本書は人生の意味を求めて救われた回心記であり、釈迦の教えを分かりやすく説き、クリスチャンが仏教文化に接した時、どのように受けとめ対応したらよいかが分かりやすく書かれています。

 一章には、著者がクリスチャンになられる以前の生い立ちや寺での生活、修行をきわめるために韓国の仏教大学に入学しての修行の厳しさなどが、いまを振り返ってくわしく書かれています。

 二章には、韓国での修行中にどのようなプロセスで教会の聖書研究会に出席し、キリストの十字架の前で、大きな神さまの愛に、止められない涙を流して罪を悔い改めた姿がありのままに書かれています。そして開拓伝道の様子など。ここまで読めば、読む者の心を大いに引きつけます。

 三章には比較宗教学的な内容で、釈迦から仏教の流れや教え、日本の鎌倉時代から仏教各宗派の特徴や違いも分かりやすく書かれています。著者ならではの生きた内容と言えます。

 評者は、日本人の救いの難関は、仏教や神道の指導者や檀家さんが救われるところにあると願って祈っています。かつて、代々続いた寺の僧侶がキリスト信者になり牧師になった回心記の本が多くの人を救いました。

 その本が仏教の大学図書館におかれ、それを読んだ評者もやがて仏教学専攻の修行生徒から回心し、牧師へと導かれました。ですからこの本も全国の仏教大学にも寄贈して頂きたいと願っています。日本の救いのために大いに用いられる書であると確信しています。