ブック・レビュー ハワイでのこれまでの日々を彩る十三のエピソード

 『 ハワイで見つけた素敵なクリスチャンライフ   』
唄野(ばいの) 隆
堺大浜キリスト教会員

黒田先生が、二十八年に及ぶハワイ、ホノルルのマキキ教会での牧会生活を終えられるにあたって、そこで出会った素敵な信仰者たちの歩みをとおして主の恵みの御業を証しされたすばらしい書である。読みやすいが、その中に実に深い信仰の深みが示されている。
お子さんが迷子になり、必死になって探したが見つからず、ようやく見つかったとき、お子さんは自分が迷子になったとも思わず、世話してくださったおばさんにアンパンを買ってもらってご機嫌だった、そのことを通して、神から離れ、迷子になっているのも気づかず滅びの道を歩んでいる罪人を捜し求められる神さまのみこころに気づいた、というご自身の証しから始まり、サーファーとして、実業者として成功の頂点にあったとき、がんにおかされ、信仰を持って主の御許に召された飯島さんの証しまで、一章ごとに一三章まで、ひとりづつの人生が語られている。
高齢者の多いマキキ教会日本語部牧師としての先生の歩みから、百歳に近いご老人の証しが多いが、この世の成功者よりも普通の生活を送られた方々の証しが多い。そのお一人びとりの生活を通して、信仰や祈り、献身、回心、楽しく生活すること、素晴らしい年のとり方など、非常に深い信仰の世界が、日常的な生活経験を通して、ごく自然にユーモアをかもし出しつつ、しかし、しっかりと聖書のみことばに結びついて証しされている。読み終えて、登場人物に親しみを覚え、主の御名を賛美する思いに満たされる。そこに登場する方々の信仰生活の素晴らしさだけでなく、彼らの証を取り上げる黒田先生の見方にも感動する。
私たちは、何かの出来事に出くわしたとき、その事実に目をつぶったり、動揺したり、怒ったり、否定的に見ることが多いが、黒田先生は、苦しい出来事をも肯定的に見て、その中に主の愛やご配慮を認めておられる。この見方を私たちも身につけたいと思う。クリスチャンとして普通の生活をどう生きるかのよいモデルを求めている人にお勧めの書である。私にとっては、クリスチャンとしての老い方、死の迎え方について教えられるところが多かった。